日経ヘルス

2018/7/20

ポイントは「呼吸の数」。呼吸数で自律神経はコントロールできる

自分が1分間に何回呼吸しているかと意識したことがあるだろうか。実は、呼吸数が自律神経の面でも、心の面でも重要なことがわかってきた。

「呼吸の数は、自律神経をコントロールする手段といえる」と話すのは、東京有明医療大学の高橋康輝准教授だ。呼吸数が少ないと、ゆっくりとした深い呼吸となり、多いと、速くて浅い呼吸になる。「リラックス時に副交感神経が優位になると、呼吸がゆっくりになると思っている人がいるが、逆。呼吸がゆっくりになる=つまり呼吸数が少なくなると、副交感神経が優位になる。つまり、呼吸のリズムが自律神経を左右する」と同大学の本間生夫学長。

呼吸の数は、心にも影響を与える。「教科書では、人間の呼吸数は1分間に約15回とされる。もちろん12回の人もいれば、18回の人もおり、医学的な問題はないが、心理面を見ると12回の人よりも18回の人のほうが不安度が高いということがわかった」と本間学長は話す。

写真左は、呼吸筋がしなやかで呼吸数は少ない。呼吸数が12回/1分で落ち着いた気持ちに。写真右は、呼吸筋が硬くて呼吸数は多い。呼吸数が18回/1分で不安な気持ちに。(※モデルの呼吸数は一例)
呼吸筋には「吸息筋」と「呼息筋」の2つがある
呼吸筋は、息を吸うために肺を取り巻く胸郭を膨らませる「吸息筋(きゅうそくきん)」と、息を吐くために胸郭を縮ませる「呼息筋(こそくきん)」の2つがあり、肺を取り巻く胸郭のまわりに、合わせて20種類以上ある。主に、吸息筋は胸の上部に、呼息筋は下のほうに集まる。小胸筋、前鋸筋、菱形筋は深呼吸のような大きく吸気が行われるときに使われる呼吸補助筋。

高橋康輝さん
東京有明医療大学保健医療学部柔道整復学科准教授。専門は健康・スポーツ科学。運動と呼吸、心臓の働きの関係などを研究。倉敷芸術科学大学生命科学部健康科学科助教授を経て、2009年より東京有明医療大学准教授。本間学長とともに、学校や介護施設などで呼吸筋ストレッチを教える活動を行う。
本間生夫さん
東京有明医療大学学長。医学博士。専門は呼吸生理学、脳生理学。昭和大学医学部にて教授を27年間務めた後、2013年に東京有明医療大学副学長、2017年に学長に就任。東日本大震災の後、呼吸筋ストレッチを使った子どもの心をケアする活動なども行っている。

(取材・文 御船晶子=日経ヘルス編集部、写真 稲垣純也、スタイリング 椎野糸子、ヘア&メイク 依田陽子、モデル MIKA、図版 三弓素青 グラフ/増田真一)

[日経ヘルス 2018年7月号の記事を再構成]