通勤や買い物に便利 オトナの125ccスクーター4選
縮小傾向が続く国内二輪市場。その中で健闘しているのが日々の通勤などで重宝されている125ccクラスのスクーターだ。2018年7月11日に道路交通法の施行規則が改正され、必要な技能教習が最短2日間で修了可能となり、より免許取得が身近になった。今回は大人が乗るにふさわしい最新125ccスクーターの4モデルを紹介しよう。
維持費は原付きとほとんど変わらない
50ccバイクが「日常生活の足」としてのポジションを電動アシスト自転車などに奪われつつある一方、時速30キロの法定最高速度や二段階右折義務といった制約がなく、2人乗りも可能な125ccスクーターは車に代わる軽便なシティコミューターとして存在感を発揮している。
また維持費が50ccとほとんど変わらないぐらい安いというのもこのクラスの大きなメリットである。とくに自動車を所有している人は任意保険として自動車保険のファミリーバイク特約が適用できる。保険会社によって少々違いはあるが、おおむね年間で1万円程度の追加支払いで自動車と同等の保障が受けられる。126cc以上の排気量だとファミリーバイク特約の適用外となってしまうため、新規で任意保険に加入しなければならない。年齢などによって金額は異なるが、最低でも1年間で2万5000円ほどの保険料がかかることになる。決して小さくない違いだろう。
また125ccを運転するための小型自動二輪免許は普通自動二輪免許に比べて取得に要する期間や費用の負担も著しく小さい。今回の道交法施行規則改正で1日に受けられる最大教習時限数が3時間から4時間に引き上げられた。これに伴い、普通免許所持者の場合、AT限定小型取得までに最短3日間かかっていた技能教習が最短2日間で修了可能になった。いわば週末2日間での取得も可能になる。
もっとも著者が住む、神奈川県警の運転免許本部に確認したところ、7月12日の時点では、神奈川県内に2日間で修了するカリキュラムを行っている教習所はなかった。最短で修了できるか否かはあくまでも各教習所の対応を待つしかないようだ。
近年の125ccスクーターはそのほとんどがヨーロッパや中国、台湾、東南アジアなどに輸出することを前提に開発された世界戦略車である。そのためこのクラスは各社が力を入れて開発した意欲的なモデルがひしめく激戦区だ。
かつては50ccの延長線として実用本位なモデルがほとんどだったこのクラスのスクーターも、いまや大人が乗るにふさわしいルックスや品質感を備えている。次ページから、そんな最新125ccスクーターのお薦め4モデルを紹介する。
コンパクトな車体が魅力 スズキ・スウィッシュ
通勤や買い物といった都市部の移動に特化した利便性の高い原付き二種スクーターとして多くのユーザーに支持されたスズキのアドレスシリーズ。18年6月に登場したスウィッシュは17年に生産終了となった「アドレスV125」「アドレスV125S」の実質的な後継車といえるモデル。
ストップ&ゴーの多い都市部での使用を想定し、ライバルよりもひと回り径の小さい10インチタイヤを前後で採用するのが大きな特徴だ。これによりコンパクトな車体と市街地における優れた加速性や敏しょう性、取り回しを実現している。
パワーユニットはシンプルで軽量な強制空冷方式のSEP(スズキ・エコ・パフォーマンス)エンジンを採用。フルフェースヘルメット+αの大容量をもつシート下の収納スペースや、スマートフォン等を充電できるUSBソケット、リアキャリアなどの実用装備も充実している。
シート高:760mm
タイヤサイズ:前100/90-10、後100/90-10
燃料タンク容量:5.5L
装備重量:114kg
エンジン:124cc空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ
最高出力:6.9Kw(9.4PS)/7000rpm
最大トルク:10Nm(1.0kgf・m)/6000rpm
燃料消費率:50.1km/L(WMTCモード値 クラス1 1人乗車時)
価格(税込み):31万8600円
Webサイト:http://www1.suzuki.co.jp/motor/product/ug125sebl9/top
ヤマハのNMAXは大胆なスタイリングが人気
125ccスクーターとは思えない大胆なスタイリングが人気のモデル。ねじり剛性の高いフレームにアルミ鍛造ピストンとオールアルミ製ダイカストシリンダー、可変バルブ機構を採用する先進の水冷4バルブエンジンを搭載し、市街地のほかちょっとしたワインディング(山道)走行も楽しめるスポーティーな走行性能を実現している。
タンデム走行(2人乗り)が快適にこなせるクッション性の高い二段シートの下には、フルフェースヘルメット1個を収納できる約24リットルのトランクスペースを確保する。ブレーキロックによる転倒を防止するABS(アンチロックブレーキシステム)を標準装備。
シート高:765mm
タイヤサイズ:前110/70-13、後130/70-13
燃料タンク容量:6.6L
車両重量:127kg
エンジン:124cc水冷4ストローク単気筒SOHC4バルブ
最高出力:9.0Kw(12PS)/7500rpm
最大トルク:12Nm(1.2kgf・m)/7250rpm
燃料消費率:43.6km/L(WMTCモード値 クラス1 1人乗車時)
価格(税込み):35万1000円
Webサイト:https://www.yamaha-motor.co.jp/mc/lineup/nmax/
ホンダのPCXには世界初のハイブリッドシステムも
大柄な車格と流麗なスタイリング、上質な走り、アイドリングストップの採用など、2010年に初代モデルが登場して以来、クラスを超えた商品力で多くのユーザーから支持されるモデル。125ccスクーター全体の性能が大きく向上するきっかけとなった。
現在販売されているモデルはその3代目にあたり、剛性の高いフレームにストローク量の大きいサスペンション、14インチの大径タイヤを組み合わせることで優れた走行性能と乗り心地を高次元で両立させている。フロントブレーキにはABSが装備されているほか、キーを所持しているだけでメインスイッチをオンにできるスマートキーも採用。シート下の収納スペースは28L(ハイブリッドは23L)とかなりの大容量だ。
またこの9月には量産二輪車としては世界初となるハイブリッドシステムを採用したタイプも追加される。これは新たにリチウムイオンバッテリーを搭載し、エンジンを始動させるスターターをアシストモーターとしても利用するいわゆるマイルドハイブリッド。燃費性能というより、中低速トルクをアップさせてスロットルレスポンスや加速性を向上させることを狙ったものだ。
サイズ:全長1925mm×全幅745mm×全高1105mm
シート高:764mm
タイヤサイズ:前100/80-14、後120/70-14
燃料タンク容量:8.0L
車両重量:130kg
エンジン:124cc水冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ
最高出力:9.0Kw(12PS)/8500rpm
最大トルク:12Nm(1.2kgf・m)/5000rpm
燃料消費率:50.7km/L(WMTCモード値 クラス1 1人乗車時)
価格(税込み):34万2360円
PCX ハイブリッド
サイズ:全長1925mm×全幅745mm×全高1105mm
シート高:764mm
タイヤサイズ:前100/80-14、後120/70-14
燃料タンク容量:8.0L
車両重量:135kg
エンジン:124cc水冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ
最高出力:9.0Kw(12PS)/8500rpm(エンジン)、1.4Kw(1.9PS)/3000rpm(モーター)
最大トルク:12Nm(1.2kgf・m)/5000rpm(エンジン)、4.3 Nm (0.44 kgf・m)/3000rpm(モーター)
燃料消費率:51.9km/L(WMTCモード値 クラス1 1名乗車時)
価格(税込み):43万2000円
Webサイト:http://www.honda.co.jp/PCX/
プジョー・ジャンゴはネオクラシックなスタイルが魅力
フランスのプジョーといえば自動車メーカーの印象が強いが、じつは二輪車メーカーとしても長い歴史を持っている。18年よりイタリアのスクーターブランド「アディバ」を輸入販売しているアディバがプジョーのスクーターを日本市場で本格展開する。
「ジャンゴ125S ABS」は50年代に販売された「プジョーS55」というモデルにインスパイアされたネオクラシックスタイルが魅力のモデル。
輸入スクーターとしては価格がリーズナブルだが、シート下にヘルメットを収納できるスペースを備えるほかスマートフォンの充電などが行える12Vソケット、ABSブレーキシステムなど装備が充実。
欧州メーカーのスクーターらしくシートの座面が大きく、高さもあるので、小柄な人や女性は一度試乗してみることをお勧めする。
シート高:770mm
タイヤサイズ:前120/70-12、後120/70-12
燃料タンク容量:8.5L
乾燥重量:129kg
エンジン:124cc空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ
最高出力:7.5Kw(10.2PS)/8500rpm
最大トルク:8.9Nm(0.9kgf・m)/7000rpm
燃料消費率:N/A
価格(税込み):38万1240円
Webサイト:https://peugeotscooters.jp/django/
(ライター 佐藤旅宇)
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