イクメン育む働き方改革 迎えや家事スムーズに

2018/7/17

東洋紡の研究所、終業15分前倒し

東洋紡の滝井功さん

「たかが15分。されど育児をする身にとって、夕方のこの時間は大きい」。こう話すのは、大津市にある東洋紡の総合研究所で働く滝井功さん(37)だ。工業用フィルムなどを研究開発する同研究所では4月、退社時間が午後5時15分と、従来より15分短くなった。滝井さんはこれに喜ぶ。

というのも、滝井さんには帰宅してからの育児が待っているからだ。同じ会社で働く妻が仕事のために早めの帰宅ができない場合、滝井さんが息子(5)と娘(2)を保育園に迎えに行く。

退社時間が従来よりも15分早まるだけで、滝井さんは、保育園に迎えに行く前にいったん家に戻る時間ができる。「炊飯器のスイッチを入れる余裕もできる」。その後の家事が円滑に進むかどうかも、この15分が大切な時間になってくる。

東洋紡が昨年4月から始めたベビーシッターの費用補助の制度も使っている。シッターを1日分利用すれば利用料金は1万円以上かかるが、同社は社員の出張時に原則3時間までの費用を負担する。この制度が滝井さん夫婦にとって、働きやすさを後押ししている。

それまでは、夫婦2人とも重要な出張が重なってしまった場合など、どちらかが仕事を諦め保育園の送り迎えをせざるを得なかった。育児を助けてくれる両親が近くに住んでいないからだ。会社が働きやすい環境を整えたことで「僕も妻も、仕事はきちんとした上で、子育てもできている。ここ数年で働き方が変わったことは大きい」。

もっとも、東洋紡の総合研究所では女性総合職が多く、育児への理解も得られやすい。滝井さんは「もっと他の『普通の人』が仕事も育児も両立できるようになってほしい」と話す。

家族で過ごせる改革~取材を終えて~

女性の活躍を支援する「ジャパン・ウィメンズ・カウンシル」の組織で知られる日本IBM。同社の鹿内一郎さん(43)は2児の父親だ。妻はバレエ教室を営み、帰宅が遅くなりがち。鹿内さんは午後4時には退社し、ご飯の用意をする日もある。自宅で仕事できる場合は会社には残らない。

約5万人の就業実態を毎年調べるリクルートワークス研究所によると17年は「勤務時間や場所の自由度が高い」の指標が改善。働き方改革が進んだ。鹿内さんは「育児や家事を『タスク』と考え夫婦協業している人がいるが、そもそも子供と触れ合う時間は唯一無二。貴重だと思う」と話す。

記者が東洋紡を取材した日は滝井さんの息子の誕生日。「今日はケーキを買って、早く帰ります」と、滝井さんはうれしそうに話した。子供の誕生日を家族全員で祝える家庭が増えることも、働き方改革の成果の一つなのかもしれない。(岩本圭剛、田辺静)

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