泣き寝入りしない セクハラ・パワハラに保険で備え弁護士費用カバー、チャットで相談も

第2段階は法的トラブルになった時の対応だ。弁護士に事件対応を任せた時に発生する着手金や手数料、日当といった費用に保険金を支払う。例えば、パワハラ被害を受けた男性が300万円の慰謝料を請求する場合、弁護士費用総額約41万円のうち29万円強を保険金で受け取る。

待機期間に注意

販売開始から3カ月。薄井順一業務部長は「知っている弁護士がいないため、我慢する人も多かった」と潜在的な需要を予想する。月額保険料は980~1680円。通常の弁護士相談の相場は1時間1万円。契約開始後、1年など一定期間は保険金が支払われない可能性がある待機期間はあるものの、気軽に相談できる点がポイントだ。

さくら少額短期保険(東京・豊島)は7月から、月400円で加入できる女性専用の医療保険「なでしこ保険」に無料サービスを付けた。スマホにアプリをダウンロードすれば「弁護士トーク」をチャット形式で利用できる。「女性には様々なトラブルが降りかかってくる」とみて、セクハラやパワハラへの備えを始める。

こうしたハラスメントトラブルで被害者補償に乗り出した最初の保険会社は、大手の損害保険ジャパン日本興亜だ。日常の法的トラブル解決を支援するため、2015年12月から販売を始めた「弁護のちから」。リテール商品業務部の松尾慎太郎特命課長は「ここ10年でハラスメントを問題視する風潮が高まっている」と開発の意図を説明する。

損保ジャパンは団体保険の特約としてつくった。同社の団体保険に入る従業員であれば、月額1000円程度の負担で加入できる。17年度末時点の契約件数は推定2万人超で1年間で3.5倍に膨らんだ。6月には障がい者向けにも同じ商品の販売を始めた。不当労働のトラブルに備え加入機会を増やしている。

ハラスメントの定義も最近は顧客からの過度な苦情による「カスタマーハラスメント」、妊娠や出産を理由に退職を迫られたりする「マタニティハラスメント」など多岐にわたる。大手損保は企業が従業員に訴えられた場合の賠償金などを補償する保険を拡充しており、17年度は大手3グループの販売件数が前の年度比で6割も増えた。保険でハラスメントに備える時代に入ってきた。

(佐藤初姫)

[日本経済新聞朝刊2018年7月14日付]

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