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投信「個人の半数が損」をどう読むか 新指標で波紋 QUICK資産運用研究所 北澤千秋

2018/7/18

ただし、このKPIは設定後5年以上のファンドが対象で、金融機関によっては実際の売れ筋ファンドが分布図に登場しないケースも多々ありそうだ。設定後間もないテーマ型投信などでは販売手数料が高いファンドも目立つだけに、投資家はできれば実際の売れ筋ファンドも併せてチェックした方がいい。

分布の形状は相場の動きで大きく変わる点も認識する必要がある。投資家は投信市場全体の傾向と、個別の金融機関の分布を比べて、分布の形状が市場環境によるものなのか、それともその金融機関に固有の原因があるのかをチェックしたい。

グラフB、Cは純資産残高の上位100本の投信について、共通KPIとほぼ同じ基準でつくった分布図だ。過去5年の市場環境はおおむね良好だったこともあり、コスト・リターン、リスク・リターンともに正の相関があるようにみえる。

■損をしたら金融機関のせい?

共通KPIは今後、投信市場にどんな影響を与えそうなのか。多くの市場関係者は「金融機関はこれまで以上に顧客の損益を意識せざるを得なくなる」と指摘する。「営業員には顧客をもうけさせたいという本能がある」(大手証券)という頼もしい声もあるが、残念ながら、ノルマ達成や会社の利益優先という金融機関が少なくないのも事実。共通KPIが、業界全体に顧客本位の意識が浸透する一つのきっかけになれば、それに越したことはない。

一方で、投資家にはこの指標に過剰反応しないでほしい、とも思う。投信を買って損失が出たら、それは市場環境が悪かったのか、金融機関の売り方や運用に問題があるのか、それとも自身の判断が間違っていたかのいずれかだ。ある意味、共通KPIの数値には投資家自身もいくばくかの責任があるはず。指標の公表をきっかけに「損をしたら何でも金融機関のせい」という風潮が広がらないよう願いたい。

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