マネー研究所

投信調査隊

投信「個人の半数が損」をどう読むか 新指標で波紋 QUICK資産運用研究所 北澤千秋

2018/7/18

野村総合研究所の金子久・上級研究員は「投信の平均的なリスク・リターンと利益確定を優先する投資行動、投信の保有期間が平均2~3年という保有実態を考慮すると、調査データは決して意外な数字ではない」という。

一括投資か積み立て投資か、投資家の投資法によっても数値は大きく変わる。世界経済がリーマン危機から脱して以降、世界の株式相場は基本、右肩上がり。この間、株式を中心にした投信の積み立て投資を続けてきた個人投資家は、大半が含み益を確保しているとみられる。保有者の7割が積み立て投資家というコモンズ投信では「顧客のほぼ全員が含み益の状態」(伊井哲朗社長)という。

しかし、積み立て投資はどんな市場環境でも利益が確保できる万能の投資法ではないし、投資家の年齢や投資期間、投資の目的によっては不向きなケースもある。積み立て投資の顧客が多い金融機関が顧客本位だとは、一概に言い切れない面がある。

■一律の解釈難しい、丁寧な説明を

運用損益別の顧客比率のデータは一律の解釈は難しい。だからこそ、金融機関に求められるのは、顧客の理解を促す丁寧な説明だ。金融庁の検査局幹部は「共通KPIだけでは自社の顧客属性やビジネスモデルを十分説明できないなら、金融機関は補完する独自のKPIを公表してほしい」と話す。

例えば、自社の顧客が実現益を優先し、投信が値上がりすると売ってしまう傾向が強いとすれば、「共通KPIにとどまらず、3月までに売却済みの投信を含めた損益も公表する」(大手ネット証券)という方法がある。

長期投資か短期売買なのかを区別するのは難しいかもしれないが、積み立て投資と一括投資に分けて顧客の損益を出すのも手だろうし、顧客の年齢別に集計してみるなどの試みもあっていいだろう。

運用損益別の顧客比率に比べると、他の2つのKPIである残高上位投信のリスク・コスト分布と、リスク・リターンの分布は、投資家にとって分かりやすい。コストが高いばかりでリターンが出ていない投信が多かったり、高リスクで低リターンの投信に偏ったりしている場合は、その販売会社の品ぞろえには問題があるといわれても仕方ない。

マネー研究所 新着記事

ALL CHANNEL