投信「個人の半数が損」をどう読むか 新指標で波紋QUICK資産運用研究所 北澤千秋

写真はイメージ=123RF
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金融庁が投資信託を販売する金融機関に対し、自主的な公表を求めた3つの成果指標(KPI)が波紋を広げている。同庁が今年3月末のデータで銀行29行の数字をまとめてKPIを算出したところ、46%の顧客は保有投信の評価損益がマイナスだったと話題になった。この指標はどう読めばいいのか、そして投信市場にどんな影響を及ぼすのだろうか。

「共通KPI」と呼ぶこれらの指標は、金融機関が投信販売にどれだけ顧客本位の姿勢で取り組んでいるかを測る物差し。個人投資家が金融機関を選ぶ際の参考にすることを想定している。

「公表しない」も選別の材料に

金融庁が6月末に公表した共通KPIは、(1)運用損益別の顧客比率(2)残高上位20銘柄のコスト・リターン(5年年率)分布(3)リスク・リターン(同)分布の3つ。金融庁はあくまで金融機関に自主的な公表を期待しているというが、「公表しなければそれも重要な情報となり、個人による金融機関の選別につながる」(検査局幹部)。時期にはばらつきが出そうだが、各社いずれは公表せざるを得ないというのが実情だろう。

このうち、金融庁の資料を基に「個人の半数近くが投信で損していた」とそこかしこで取り上げられたのが(1)。顧客ごとに保有投信の購入来の運用損益(手数料控除後)を出して、損益別に顧客の比率をまとめたものだ(グラフA)。

この指標は時々の相場環境で大きくぶれるだろうが、ある程度は販売会社ごとの投信の売り方や品ぞろえなどを反映しそうだ。ただ、単純にこの指標だけで「顧客思い」の金融機関かどうかは判断できない面があり、投資家が数値を解釈するときには注意が必要になる。

まず理解しておきたいのは、この損益の計算対象は3月末時点で顧客が保有している投信に限られ、売却済みの投信は対象外になっている点だ。基準価格が上がって売却益を出したり、値下がりに耐えきれずに売って損失が出たりした場合、計算には含まれない。

投信保有者の実感とずれも

「一般的な個人投資家の傾向として、2割程度の利益が乗ると売却して実現益を出し、含み損のある投信は抱え続ける」と、多くの市場関係者は指摘する。「半数近くが投信で損」という調査データは一般の人々には衝撃的だが、実際の投信保有者の実感とは少しずれている可能性がある。

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