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オムライスをおいしくするソース。お客さんが言葉で表現することのできない悩みにヒット商品のヒントが隠されている

オムライスをおいしくするソース。お客さんが言葉で表現することのできない悩みにヒット商品のヒントが隠されている

日経MJの人気コラム「竹内謙礼の顧客をキャッチ」が『200社に足を運んでわかったお客さんがホイホイ集まる法則』(日本経済新聞出版社)のタイトルで1冊の本になりました。5年間250回にわたる連載の中から、一押しのノウハウ50の事例を選び、再取材の上、大幅加筆してまとめたものです。その50の事例から、10例を抜粋して紹介します。4回目は、お客さんの声から「小さな不満」を探し当て、年間1万5000本を売るオムライス専用ソースを作った社長の秘策です。

◇  ◇  ◇

お客さんの声を聞いて商品を作ることは、実はとても難易度が高い。よく店に出入りする常連客の意見を聞いてもひいき目なことしか言わないので改善策を聞き出すことはできない。また、顧客の要望というのは「価格を下げて欲しい」「品数を増やして欲しい」など身勝手な意見ばかりで、資本力のない中小企業が顧客の声を聞いても、要望を叶えることが現実的には困難なケースが多い。このように「お客さんの声」を売上に直結させたり、新商品開発のアイデアに結びつけることは思いのほか難しいのである。

ここではソースの製造会社がお客さんの声をうまく聞き出して、ヒット商品を生み出した事例を紹介しよう。

*   *

筆者は『オムライスをおいしくするソース』というネーミングに興味を持ち、鳥居食品(静岡県浜松市)のこのソースをオムライスに使ってみたところ、味が劇的に変わって驚いた。トマトのマイルドな味が際立ち、オムライスの味のレベルがはっきりと上がった。「おいしくするソース」という名は伊達ではなかった。

それにしても、この会社はなぜオムライス専用のソースを作ったのだろうか。串カツやハンバーグなど、ソースを使うメイン料理はたくさんある。オムライスはむしろケチャップのイメージのほうが強いだろう。

「300人のモニター調査を行い、自宅で作るソースで関連のある料理を列挙してもらいました。するとカレーとハンバーグに次いで、3番目にオムライスがあったんです」

そう話すのは商品開発を行った鳥居大資社長である。オムライスにかけるケチャップ独特の酸味の強さが苦手で、オムライスを作る際は自作でソースを作る人が多いことがモニター調査で判明した。消費者の小さな不満に気づいた鳥居社長は、さっそくオムライス専用ソースの開発に着手。静岡産の桃太郎トマトを原材料に使い、コクのあるオムライスにぴったりのソースを商品化することに成功した。

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