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病気リスクを高めない飲酒量、今の基準は多すぎる?

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日経Gooday(グッデイ)

死亡や循環器疾患のリスクを高めない飲酒量はどの程度かを検討した英国の研究で、死亡リスクを高めない飲酒量は、純アルコールで1週間に約100gが上限であることが示唆されました。これは、厚生労働省が示している「節度ある適度な飲酒」の目安(1日平均20g、1週間で140g程度)よりも低い数字です[注1]

飲酒量の上限は国によってまちまち

厚生労働省は、節度ある適度な飲酒は、純アルコールにして1日平均20g程度(週140g程度)としています。しかし、世界各国の飲酒に関するガイドラインが示す基準値はばらついており、どれを見本にすればよいのか迷うのが現状です。

例えば米国は、男性は1週間に196g、女性は1週間に98gを上限としています。カナダとスウェーデンも同様です。一方で、イタリア、ポルトガル、スペインは、米国のおおよそ1.5倍を上限とし、英国は、男性の上限を米国の半分強(112g)に設定しています。

そこで、英ケンブリッジ大学などの研究者たちは、死亡と循環器疾患(心筋梗塞や心不全、脳卒中など)のリスクを高めない飲酒量を明らかにしようと考えました。

分析対象にしたのは、19の高所得国(米国、カナダ、英国などの西欧諸国、オーストラリア、日本ほか)の住民を対象に行われた3つの大規模研究に参加した人々です。この中から、飲酒習慣があり、循環器疾患の経験がない59万9912人(平均年齢57歳、女性44%、喫煙者21%)を選び、約7.5年追跡して、死亡および循環器疾患の発症と飲酒量との関係を検討しました。

[注1] 純アルコール20gは、ビールなら中瓶1本(500mL)、ウイスキーならダブル1杯(60mL)に相当する。

対象となった人々の約50%が週に100gを超える純アルコールを摂取しており、8.4%では摂取量が350gを超えていました。

アルコールが週100gを超えると死亡リスクは上昇

検討の結果、死亡リスクは、飲酒量が増加するにつれて、あるポイントから曲線的に上昇していました。具体的には、純アルコール摂取量が週に100g以下の人では、死亡リスクは飲酒量にかかわらず一定でしたが、週に100gを超えると週150gあたりまで緩やかに上昇し、それ以降は急上昇していました。男女別に分析しても同様の上昇傾向が見られました。

なお、1週間当たりの純アルコール摂取量が同じでも、ワインを飲む人に比べビールまたはスピリッツを飲む人のほうが、飲酒量の増加に伴う死亡リスクの上昇は大きくなっていました。また、より飲酒頻度が低い、すなわち1回当たりの飲酒量が多い人も、飲酒量増加に伴う死亡リスクの上昇が大きいことが分かりました。

一方、循環器疾患のリスクは、純アルコール摂取量の増加とともにJ字型のカーブを描きました。リスクが最も低いのは飲酒量が週100gの人で、1週間にわずかだけ飲酒する人と200g飲酒する人のリスクは同程度でした。

飲酒量増加とともにリスクが上昇する循環器疾患は、脳卒中(1週間の純アルコール摂取量が100g増加するごとに1.14倍)、心筋梗塞以外の冠動脈疾患(同1.06倍)、心不全(同1.09倍)、高血圧による死亡(同1.24倍)、大動脈瘤による死亡(同1.15倍)でした。

ところが、飲酒量と心筋梗塞の関係は上記とは全く異なっていました。リスクが最も高いのは1週間にわずかしか飲まない人で、週100gまでは飲酒量が増加するにつれてリスクは低下していました。週100g以上では、飲酒量が増えてもリスクは一定の低い値を維持しました。全体では、1週間の純アルコール摂取量が100g増加するごとに心筋梗塞のリスクは6%ずつ減少する、という結果になりました。

飲酒量が週に約100gを超えると、余命は1.3~1.6年短くなる

今回のデータを利用して推定すると、英国で男性の飲酒量の上限値に設定されている週112gを超える量を飲む人の40歳時点の余命は、上限値以下の人に比べ1.6年短く、米国のガイドラインの上限値である週196gを超える男性では、それ以下の人に比べ2.7年短くなると考えられました。

同様に女性では、英国の上限値である週112gを超える人と、米国の上限値である週98gを超える人の40歳時点の余命は、それらの上限値以下の集団に比べいずれも1.3年短くなると推定されました。

高所得国の飲酒者において、死亡リスクが最も低くなる飲酒量は純アルコール量でおおよそ週に100g以下でした。一方で、循環器疾患のリスクについては、全体でも、個々の疾患についても、明確な閾値は見いだせませんでした。

今回得られた結果は、多くの国で現在用いられている安全な飲酒量の上限を引き下げる必要があることを示唆しています。

論文は、英Lancet誌2018年4月14日号に掲載されています[注2]

[注2]  Wood AM, et al. Lancet. 2018 Apr 14;391(10129):1513-1523.

大西淳子
 医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

[日経Gooday2018年10月26日付記事を再構成]

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