65歳から公的年金への依存度上昇 金融資産の確保を

日経マネー

「公的年金や企業年金などは変化なし」でしょう。受け取りの金額は65歳以降で確定しますから、70歳代になって増えることはありません。そのため、構成比は6割程度といえます。もちろん、企業年金や個人型年金保険の受け取りも当面続くと思いますので、それらを含めれば年金関係で7~8割をカバーするでしょう。

公的年金の頼り過ぎに注意

イラスト:小迎裕美子

しかしもう少し先の、75歳や80歳、85歳を考えていくと別の姿が見えてきます。企業年金や個人型年金保険の受け取りはほとんどが有期となっているため、それほど長く受け取れないのです。例えばDC(確定拠出年金)の場合には、60~70歳の間で引き出しを始め、5~20年間受け取るのですが、最短で65歳で受け取りが終わってしまう場合もあります。65歳開始で20年間受け取るようにしても、85歳には終わってしまいます。そこからは公的年金だけになり、生活費の60%が公的年金、残りは自分の資産からの引き出しになります。

公的年金の受給額自体は、直近の年金財政検証でも実質2割減が想定されています。それを前提にすると、将来の公的年金は退職後年収の半分以下に減ることになります。そして、残りは全て自分の資産からの引き出しとなるのです。

ここに公的年金の最大の限界があります。公的年金は唯一の終身の収入源ですから大いに活用すべきですが、中途半端に公的年金に頼ると、自分の金融資産の取り崩しをゆがめる危険があります。

例えば、「(1)年金受給が本格化する65歳までに過度に金融資産を取り崩さない」「(2)企業年金などは有期であることを承知し、さらに公的年金は将来徐々に減額されていくことも念頭に置いて、晩年のための金融資産を十分に持っておく」。この2点が大切です。

「ゆでガエルの逸話」ではありませんが、ぬるま湯に漬かっているうちに熱くなっても逃げ出せなくなってゆで上がってしまうカエルのようにはなりたくないものです。

野尻哲史
フィデリティ退職・投資教育研究所。一橋大学卒業後、内外の証券会社調査部を経て2006年にフィデリティ投信入社、07年から現職。アンケート結果を基にした資産形成に関する著書や講演多数。

[日経マネー2018年8月号の記事を再構成]

日経マネー 2018年 9 月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)


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