少女が10mの井戸を降りる インド水不足の深刻さ

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/7/29
ナショナルジオグラフィック日本版

梅雨が早く明けた関東は、水不足が心配されている。しかし、もっと深刻な水不足にあえいでいるのがインドだ。

マディヤ・プラデーシュ州の村の人々は、長い距離を歩き、10m以上の深さの井戸の底に降りて水を汲んで、水を飲む生活を送っている。

しかも井戸の多くは、夏の暑さで干上がっており、水が残った井戸を見つけるのは難しい。

井戸の底まで降りたところで、水はたいてい白く濁って汚れている。虫がわいていることもあるため、村の人たちは水を煮沸して飲む。

石を組んで作られた深い井戸へと降りていくのは、村の少女だ。彼女たちは安全帯もつけず、石と石との隙間につま先を突っ込んで足がかりにし、井戸の内部に鉄の棒があれば、はしご代わりに伝って降りる。底に着いたらバケツで水を汲み、地上にいる村人にロープで引き上げてもらう。

登っている最中に足を滑らせれば、井戸の底に落ちてしまう。そうした事故は珍しくなく、2018年5月にも隣の村の少女が、作業中に底に落ちて片脚を骨折したという。

現在、インド全土の億単位の人々がひどい水不足の中にいる。政府機関のシンクタンク「The National Institute for Transforming India Aayog (NITI Aayog)」は2018年6月中旬に水問題に関する報告書を発表。この中で、インドでは安全な水が得られないため、毎年20万近くの人命が奪われており、この傾向は今後数年でさらに悪化するだろうと指摘。インド国内における水の需要は2030年までに倍に達し、数億人が深刻な水不足に直面すると報告書は結んでいる。

人々が水に関して役に立つ情報を入手できるようになれば、事態は今よりは良い方向へ進むことは間違いない。だが、実際には水資源の管理はうまくいっていない。州の多くが水資源は限られているため、融通し合ったところで、結局は「水を得られる人」と「水を得られない人」が出てしまうと考えているからだ。今回の報告書によれば、最近、インド全州の半分を巻き込んだ河川を巡る紛争が7件起きているという。

(日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2018年6月27日付記事を再構成]

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