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スパイダーマン顔負け 高層ビルを登頂したアライグマ

日経ナショナル ジオグラフィック社

2018/7/25

ナショナルジオグラフィック日本版

2018年6月12日、1匹のやせたアライグマが人々の目を釘付けにした。米ミネソタ州セントポールの25階建てのUBSタワーを登り始めたからだ。今回は、その映像をご覧いただきたい。

当初、数階登った時点では、その上を目指すかどうか決めかねているようだった。だが、アライグマは、地上に降りるよりも登ることを選んだ。途中、仮眠を取ったり、毛繕いのために休んだりしながら、25階建てのビルを登り続ける。アライグマの奮闘する様子は、インターネットに動画で相次いで投稿された。

そして、13日未明、アライグマはビルの屋上に到達。キャットフードとケージに迎えられ、捕獲された。

実は、アライグマの特技は登ること以外にもある。

まず、とにかく適応能力が高い。都市化が進むにつれ、私たち人間はアライグマの生息環境を変えた。森林はコンクリートジャングルとなった。環境の変化に適応できない生物が多い中、アライグマは順応しているようだ。特に、抜け目のなさでは、都会のアライグマのほうが田舎のアライグマより上だ。

カナダ・トロントのヨーク大学の心理学教授スザンヌ・マクドナルド氏は2014年、ふたが付いたごみ箱の底にキャットフードを置く実験を行った(マクドナルド氏はナショナル ジオグラフィック協会のエクスプローラー:協会が支援する研究者)。田舎のアライグマはごちそうのにおいを嗅ぎつけると、ごみ箱の底を目指した。一方、都会のアライグマは、ごみ箱のふたに襲いかかった。

次に感覚が鋭い。かぎ爪が付いた小さな手足は、動画のとおり登るのに最適だが、この手足は驚くほど触覚が鋭いことは知られていない。アライグマは普通の哺乳類に比べ、手足に4~5倍の感覚細胞を持つ。しかも、感覚信号の処理をつかさどる脳の部位のうち、実に75%が触覚に使われている。マクドナルド氏は過去のインタビューで、「彼らはものを見なくても、頭の中にイメージを浮かべることができます。文字通り、手足で見ているのです」と説明している。

そして、とても賢い。「カラスと水差し」というイソップ物語の内容を模した有名なテストがある。まず、くちばしが水面に届かない水差しを用意する。小石を水差しに落とし、水かさを増やさなければ、水を飲むことはできない。カラスはこのテストに合格する知能をもつことで知られる。

2017年の研究によれば、このテストに合格するアライグマがいることがわかった。このテストでは、シリンダーに水を少しだけ入れ、マシュマロを浮かべる。そして、研究者がシリンダーに石を落とし、水位を上げて見せる。すると、8匹中2匹が同じ行動を取り、おやつを手に入れた。独創的な方法で、研究者たちを驚かせるアライグマもいた。そのアライグマはシリンダーを倒し、マシュマロを手に入れた。

(日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 2018年6月15日付記事を再構成]

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