2018/7/13

投資道場

低コストの連動投信が増加

第1部のテーマは要するに「良いインデックスとは何なのか。分散の幅広さか、より大きく上がる指数か」という重要かつ本質的な議論だ。確かにより大きく上がる指数があればより大きなリターンが得られるが、その永続性を見極めるのは簡単ではない。

水瀬氏は「全世界株でも時価総額の半分強は米国なので、味付けをするかしないかだけの違いかもしれない。様々な上場投信(ETF)を組み合わせている自分も(結果的に)米国株の比率が時価総額比より少し高くなっている(が無理に修正はしていない)」とコメント。たぱぞう氏も「自分も一部全世界株型投信をもっています」と明かしていた。議論は熱気がありながらも和気あいあいとしたもので、最後は水瀬氏とたぱぞう氏ががっちり握手して終わった。聴衆からは「二人とも紳士的で大人」とのツイートが相次いだ。

ちなみにS&P500の連動投信としては、信託報酬が従来より低い「iFree S&P500」が大和証券投資信託委託から新たに登場している。先進国と新興国の全世界株に1本で投資する指数としては以前からのMSCI ACWI(連動投信に「eMAXIS Slim 全世界株式」「野村つみたて外国株」など)に加えて、中小型株にも投資できる全世界株指数FTSE Global All Cap(連動投信に「楽天全世界株式」や「EXE-iつみたてグローバル」など)が登場し注目を集めている。

ただしACWIとFTSEの両指数の値動きはかなり似ている。FTSEは中小型株を含む分、リターンは高そうにも見えるが、実際は値動きに対する影響の多くは時価総額の大きな銘柄で決まるためだ。連動投信の信託報酬(コスト)などを勘案して好みで選べばいいだろう。

金融庁幹部がつみたてNISAを解説

この日は第2部で金融庁の今井利友金融税制調整官が積み立て方式の少額投資非課税制度「つみたてNISA」について会場からの疑問に答えた。「つみたてNISAと一般NISAをどちらか一方に統一することは考えていない」「NISA制度の恒久化を目指す」との言葉に会場が沸いた。

第3部では「投資継続のメンタリティ」をテーマに、個人ブロガーや経済評論家の山崎元氏、ファイナンシャルジャーナリストの竹川美奈子氏が討論した。山崎氏は「リスク許容度は自分にしかわからない。具体的な金額を想定して考えるべきだ」とアドバイス。竹川氏は「リーマン・ショック後の08~09年に積み立てをやめた、あるいはすべて売り払ってしまった投資家が本当に多かった」と振り返り「それを繰り返さないための方策の一つが仲間をつくること」だと話していた。

リーマン・ショックからはや10年。米国景気拡大もまる9年だ。株価は大きく上がり、多くの投資家は資産を増やせた。しかし、米国の戦後の景気拡大の平均は5年で、循環的にもいずれ下落局面はくる。インデックス投資ナイトなどを通じた仲間づくりが、そんなときに投資を継続する大きな力になるのかもしれない。

(編集委員 田村正之)

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