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完全会員制で高まる人気 肉料理店「29ON」の魅力

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NIKKEI STYLE

日経クロストレンド

2016年10月に東京・西新宿に1号店をオープンした完全会員制の肉料理レストラン「29ON(ニクオン)」。新規出店をするたびに会員の募集を行い、現在は都内4店舗(計84席)に対し、数千人の会員を抱える。その成功の理由を探った。

会員は1万4000円の年会費を支払う。その代わり、一般の飲食店で食べると1万円に迫るレベルの肉づくしのコース料理を、5000~7000円(店舗によって異なる)で食べられる。仮に一般の飲食店との価格差を3000円とすると、会員は友人4人と年1回訪れるだけでほぼ年会費に相当するメリット(3000円×4人=1万2000円)を受けられるとあって、各店はグループ客で常ににぎわっている。

29ON会員をとりこにするコース料理の秘密は、食材原価率の高さにある。一般の飲食店では30%程度といわれるが、29ONの食材原価率は50%を超えており、希少なブランド牛や部位が惜しげもなく提供される。肉のお代わりもオーダーし放題だ。なぜ、こんなことができるのか。

ドタキャンなしで食材の無駄をほぼゼロに

29ONのモデルの元となっているのが会員制の倉庫型店舗を運営するコストコホールセールだ。年会費の4400円を徴収する代わりに、食品や日用品などを割安な価格で販売することで顧客満足度を高め、会員権の継続を狙う戦略で、定額モデルの一つの成功事例として知られる。29ONの年会費は1万4000円。まずこれがほぼそのまま利益になることが大きい。会員が1000人いるとすると、何もせずに年間1400万円もの固定収入が手に入る計算だ。それに加え、3つのポイントがある。多くの飲食店を悩ませる「ドタキャン」がないこと、食材の廃棄ロスがほとんど出ないこと、通常は売り上げの30%を占めるといわれる人件費が大幅に安いことだ。いずれも、完全会員制で来店も予約オンリーにしたことによって得られたメリットだ。

会員は予約をキャンセルする場合、7日前までの連絡を義務付けられている。もし無断でドタキャンをすると会員権の失効につながる可能性があるから、来店しないリスクは極めて少ない。つまり、店側はいつ何人が来店するかを正確に把握できる。メニューも季節ごとに変わるコース料理の1本に絞っているため、必要な食材を無駄なく仕入れられる。また、あらかじめ判明している客数に応じて店舗スタッフの数を増減できるうえ、そもそも提供する料理は火を使わない低温調理がメインなので厨房を少人数で回せるというわけだ。

この他、完全会員制を取ることで店舗を目立つ場所に構える必要がなくなる。実際、29ONの各店舗は最寄り駅から10分以上歩くところや、駅近でもビルの2階や地下などにあり、そのぶん賃料は安く抑えられている。チラシや広告など一般向けの販促は行わないため、集客のためのプロモーション費用も安上がりだ。こうしたコスト圧縮の積み上げと年会費の上乗せ分により、食材原価率50%超にしても外食業界では異例の20%を大きく上回る高い利益率を確保できるのだ。

来店回数を上げることが「肝」

会員側と店側の双方にメリット満載に見える29ONのビジネスモデル。だが、もちろんそのまま模倣するだけでは店側は儲からない。肝となるのは、年会費を支払う会員の満足度を高め、いかに継続してもらえるかだ。「そもそも完全会員制、予約オンリーの店に挑戦したのは、顧客データの管理がしやすく、一人ひとりとのコミュニケーションを深堀りできるから。また、コストコを何回も訪れる人の満足度が高いように、29ONでも会員の継続率を高めるには『来店回数』を上げることが重要で、KPIをこの1本に絞れることも利点」と29ONを運営するfavyの高梨巧社長は話す。

現在、29ON会員の来店頻度は「年1回」が最も多く、「年2回」がその半分程度、「年6~12回」のヘビーユーザーは全体の1割程度いる。「今のところ会員の解約率はほぼゼロだが、強いて言うと1年に1回来る人と2回の人では後者のほうが継続率は高いことが分かっている。我々は、ここを引き上げることに集中している」(高梨氏)

来店回数が落ちてきた会員には、ダイレクトメールやSNSによる通常のコミュニケーションに加えて特別な招待カードを郵送したり、来店時の接客データから会員の好みそうな肉料理のレシピを推定して、それに合うキャンペーンを知らせたりしている。例えば、29ON各店への優先予約ができる招待ハガキを送った際は、2%以上の人が新規の予約を入れたという。「一般の飲食店が送るダイレクトメールの反応率は平均1%以下しかない」(高梨氏)というから、かなり高い実績だ。

こうした集客の手段は必ずしも目新しいものではないが、闇雲にすべての会員に接触するのではなく、来店頻度に着目してアプローチしていることがポイント。「そもそも29ONに集まるのは肉好きの会員に絞られているから、見当違いのコミュニケーションは発生しにくい。前職のネット広告代理店時代に経験した、化粧品や健康食品など定期購入型の単品通販のマーケティングノウハウが、そのまま生きている」(高梨氏)という。

店舗でも、しばらく来店していなかった会員に追加で料理をサービスしたり、前回の利用時に注文された日本酒と味わいが同じ傾向の銘柄を薦めたりするなど、個々の会員に合わせた丁寧な接客が可能。会員データをうまく活用することで、「例えるなら、『すご腕キャバ嬢』並みの営業力、接客力を発揮している」(高梨氏)ことが、29ONの強みだ。

満足度を高める「余白」

また、もう一つ、会員の満足度を高める工夫がある。それは、店舗の総席数と会員の利用率のバランスに着目し、すべての店が予約で埋まっている状態を極力なくして「余白」を残していることだ。会員の来店頻度や1組当たりの平均人数などから高梨氏が割り出した黄金則は、「アクティブな会員数に対して有効席数が10%程度残っている状態」。これが5%を切ると、途端に予約が取れない会員からのクレームが増え、満足度が下がるという。

こうした29ONの大繁盛モデルは、大手外食チェーンを含めて引く手あまたの状態。同じ取り組みをしたい数百社から問い合わせが舞い込んでおり、フランチャイズ展開などで19年にかけて数十店舗をオープンしていく計画。ただ、肉好きのくくりだけでは集められる会員の数は限界があるのも事実。十分に会員が取り込めなければ29ONモデルは成り立ちようがない。そのため、「単品でフィーチャーする食材は牛肉だけではなく、魚介や野菜なども検討している」(高梨氏)という。今後も新味のある完全会員制レストランが増えそうだ。

(日経クロストレンド 勝俣哲生)

[日経クロストレンド 2018年6月29日の記事を再構成]

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