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ジェラートの父お膝元 フィレンツェではしごしたら…

イタリア食紀行(上)

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NIKKEI STYLE

暑さが厳しさを増すと、冷たいものを口にしたくなる。そんなとき乳脂肪分が少なく、さっぱりした口当たりのジェラートはまさにうってつけだろう。本場・イタリアでも幼児からお年寄りまでこよなく愛されている。歴史的にジェラートと縁(ゆかり)が深い古都、フィレンツェでジェラテリア(ジェラート専門店)をはしごし、最新トレンドを追った。

そもそもジェラートとは「凍った」を意味するイタリア語。そこから転じて、いつしかアイスクリームを指すようになった。日本でアイスクリームといえば、乳固形分15%以上(うち乳脂肪は8%)といった定義があるが、ジェラートは乳脂肪分がそれより低い。一般に5%前後なので、日本の分類に従えば、アイスミルクや氷菓のカテゴリーに含まれる。

近年、日本でもジェラートは人気だが、本場イタリアでもこの季節には欠かせないソウルフードならぬソウルスイーツ。ジェラート販売店の数は国内に3万店とも4万店ともいわれ、ジェラートしか取り扱わない専門店、ジェラテリアも街中に多い。地元の人に尋ねれば、きっとすぐにお薦めの店を紹介してもらえるはずだ。

「ジェラートの父」と呼ばれる男がいる。ルネサンス期に生きたベルナルド・ブオンタレンティである。本職は建築家で彼が手掛けた宮殿や要塞がフィレンツェに今も残る。彼は美食家でもあった。ジェラート製造機械を考案し、自らの名前にちなむジェラート「クレーマ・ブオンタレンティ」が後世に残る。まさに現代のジェラートのベースを築いたともいえる人物だった。

ジェラートの父のお膝元、フィレンツェで素材などにしっかりとこだわり、すべて手作りしている人気のジェラテリアを回ることにした。

■ラ・ソルベッティエラ

フィレンツェ中心部のターミナル駅、サンタ・マリア・ノヴェッラ駅周辺の雑踏を抜け、歩いて約20分。ルネサンス時代の城壁が広がるタッソ広場の前に店を構える「ラ・ソルベッティエラ(LA SORBETTIERA)」。知る人ぞ知るような場所にあるため、当初は地元客が中心だったが、近年はわざわざ足を運ぶ外国人観光客らが増えている、と店主のアントニオ・チャバットーニさん。インスタグラムなどのSNS(交流サイト)の影響らしい。

アントニオさんが現在の地に店をオープンしたのは2009年。だが、曽祖父の代からイタリアやドイツでジェラテリアを営む家系で、アントニオさんも14歳のころから家業を手伝ってきたという。

ラ・ソルベッティエラのジェラートは地元トスカーナ州などから調達した厳選素材を用い、すべて手作り。牛乳や生クリームにピスタチオやヘーゼルナッツ、チョコなどを混ぜたり、砂糖と水に季節のフルーツを混ぜたりして様々なフレーバーに仕立てる。店頭には常時16種類の味を用意し、売り切れたら、別の味を投入する方式で毎日平均20~25種類のフレーバーを提供している。

ジェラートショップといえば、ガラスのショーケース越しにあれこれ眺め、好きな味をチョイスするイメージだが、この店は違う。ジェラートを入れたメタリックな輝きを放つ金属製容器はすべて蓋付きで、その横にフレーバーを記した札が並ぶだけ。容器の中身が見えない。蓋をするのはジェラートを新鮮な状態に保つためと聞いて納得した。試してみたい味ならば、もちろん試食OKだ。

この店で人気の定番は「ピスタチオ」やジェラートの父ゆかりの「ブオンタレンティ(クリーム味)」、チョコ味の「カトラーメ」など。そこでカトラーメと、店のオリジナルフレーバーの「レモンとセージ」をカップで注文してみた。

マダガスカル産のカカオ75%のカトラーメはビターで甘さが口に残らない。まさに大人の味のスイーツである。一方、レモンとセージは、セージの香りがレモンのさわやかさを引き出す絶妙なハーモニー。夏の日差しが照りつける季節にはもってこいの味、と感じた。

「うちの店はジェラートを作り続けてもう80年以上の歴史がある。その間ずっと研究を重ねてきた。素材の良さは一口食べてもらえばすぐにわかる。品質ではどこにも負けないよ」とアントニオさんは胸をはった。イタリア国内では通年営業するジェラテリアもあるが、アントニオさんの店は毎年12月後半から翌年2月末まで店を閉めて、家族で旅に出る。旅先で見つけた新たな具材をジェラートに使えないか常に新たなフレーバーの追求に余念がない。「アズキや抹茶味もその産物」と教えてくれた。

■ジェラテリア デラ・バッセラ

フィレンツェの中心部を流れるアルノ川。その川にかかる「ベッキオ橋」を渡った先にあるのが「ジェラテリア デラ・パッセラ(Gelateria della Passera)」だ。さほど広くない店内に観光客の姿が目立つのは場所柄だろう。近くでカフェを営む夫婦が6年ほど前に新業態の店としてオープンした。

開店までの経緯がおもしろい。実は物件を借りたものの「火気使用厳禁」とわかり、困ったカフェオーナーの妻がジェラート専門学校に通い、開店したのだ。それでも味にはしっかりとこだわる。新鮮な素材を用いてすべて手作りな上、ラ・ソルベッティエラと同様、グルテンフリーにもこだわる。

蓋付きの金属製容器に収め、中が見えないが、その分、地元の女性に依頼し描いてもらっているイラスト入りのフレーバー表示が想像力をかきたてる。この店のフレーバーはクリーム系やフルーツ系など全部で20種で、定番はチョコやピスタチオ、コーヒー味とか。

一般にカップやコーンのサイズで料金が変わる店が多いが、この店はジェラート1玉いくらという料金体系になっている。1玉1ユーロで「コーンなら3玉、カップなら5玉までなら大丈夫」とスタッフの女性はにっこり。

この店で食したのは「インカンテージモ」。ハイビスカスやレモンバーム、ライムなどを素材にしたワインレッド色したジェラート。スプーンで口に運ぶと、甘酸っぱい味覚や香りが五感を心地よく刺激する。名称を日本語に訳すと「呪文」というが、おまじないにかったように暑さを忘れさせてくれる爽快な味だった。

■ペルケ・ノ!

最後に訪ねたのが「ペルケ・ノ!(Perche no!)」。1939年創業というフィレンツェでは老舗の有名ジェラテリアだ。街のシンボル、ドゥオモ(サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂)に程近い場所にあり、客足が絶えない。店名は英語で「Why not」といった意味で、断る理由がない、とか是非といった意味らしい。

この店のオススメはピスタチオやヘーゼルナッツ、クリームなどだが、フルーツ系ももちろんある。ショーケースに収まる各フレーバーもしっかり目で確認できるのでありがたい。

どの店でも目にした「ピスタチオ」を試してみることにした。添加物類を使っていないせいか、素材の味がストレートに伝わり、パンチがある。

ジェラートの好みが人それぞれなのはもちろんである。だが、「本当においしいジェラートは食べ終わった後、のどが渇かないもの」と取材を重ねる中で、おいしさの基準について、耳にしたことがある。その基準に照らせば、取材した3つの店のジェラートはどれも当てはまり、飽きることのない味だった。

(堀威彦)

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