まずは小規模のマネジメントを経験し、先ほども触れた「メンバーの成長を見る喜び・やりがい」を感じれば、マネジメント職への意欲も高まると期待できます。一足飛びに「抜てき」するのではなく、段階を踏んでマネジメント規模を大きくしていくのが得策です。
●女性の登用は「出産前」がベスト
女性の場合、結婚・出産によって生活が大きく変化しますので、管理職に登用するタイミングも重要です。私は、女性に初めて管理職を経験させるなら「出産前」が望ましいと考えています。
マネジメントを経験していないうちは、「難易度」の見当がつかず、不安を覚えるもの。実際、管理職になりたくない女性に「なぜ嫌なの?」と聞くと、多くの場合「大変そうだから」という答えが返ってきます。でも、実際のところ「どう大変か」「何が大変か」は理解していません。実際に管理職に就いてみると、「想像していたより大変じゃなかった」「意外とこなせる」という声は多いのです。むしろ、大変だけれどもそれ以上にやりがいがあることも体感します。
出産前に「やっていけそう」という感触を持っておけば、産休から復帰した後も管理職をこなせる自信が持てる可能性は大。だから、上司の皆さんは女性たちに「前倒しキャリア」を積ませることで、出産後のマネジメント業務への意識のハードルを下げておくことをお勧めします。
●ロールモデル、メンターをつくる
初めてマネジメントを経験するにあたっては、いろいろな壁にぶつかるし、迷いも生じます。そんなときにロールモデルとなる人物、あるいはメンターとして頼れる人物を、会社が用意してあげることも大切です。これは、必ずしも女性でなくても構いません。社内にいなければ、社外の人に依頼してもいいでしょう。
「チームミーティングの運営をどうするか」「部下にこんな相談を持ちかけられたらどう対応すべきか」など、困ったときに頼ることができ、マネジメントの心得やノウハウを伝授してくれる人と交流を持てるようにお膳立てをしてあげてください。
会社側からメンターを提供する場合は、「この人につきなさい」ではなく、複数のタイプの人を用意して、本人が自分にフィットする人を選べるようにするのが望ましいといえます。
●男性管理職を活性化させる
女性が「管理職になりたくない」というのは、男性上司を見ていて、その姿を魅力的に感じていないから、という要素も大きいようです。現時点で管理職を務めている男性たちがもっと輝き、やりがいを持って働く姿を見せることができれば、女性部下の意識も変わってくるのではないでしょうか。
「男性管理職が魅力的でない」は、本人の問題もありますが、会社の責任もあるかもしれません。男性管理職が生き生きと働ける仕組みや環境をつくれていないということです。そこから見直し、整備していくことも大切だと思います。マネジメント体制や評価制度の刷新、あるいはリーダー研修の導入など、男性管理職が活性化するような施策も検討してみるとよいでしょう。
いかがでしたでしょうか。女性の管理職「食わず嫌い」は本当にもったいない話です。女性ならではの強み・特長を生かしたマネジメントで、もっともっと活躍できるでしょう。また、会社側のていねいな環境づくりは、企業の成長・発展のためにも欠かせないものといえます。ぜひ早い時点で取り組まれることをお勧めします。
※「次世代リーダーの転職学」は金曜更新です。次回は8月3日の予定です。この連載は3人が交代で執筆します。
