女性活躍推進法の施行から2年強。育児と仕事の両立を支援する制度などの整備が進み、出産後も働き続ける女性が増えています。しかし、政府が企業に求める「女性管理職比率の向上」はなかなか進まないのが現状。女性が管理職として当たり前に活躍し、企業とウインウインの関係を築くために、女性当人および企業にはどんな意識改革や施策が必要なのでしょうか。
実は女性が管理職に向く理由
政府は2020年までに「女性管理職比率を30%に引き上げる」目標、通称「2030(ニイマルサンマル)」を掲げています。
ところが、当の女性たちは「管理職になりたくない」派が大多数。求人情報サイトを運営するキャリアインデックスが17年に働く女性450人を対象に実施したアンケート調査でも、管理職に「なりたくない」と回答した女性は87.3%に達し、「なりたい」人はわずか12.7%にとどまっています。
しかし、私は、女性は管理職に向いていると考えています。男性にはできないマネジメントスタイルで、女性ならではの強みを発揮できるのです。
私が実感しているところでは、男性管理職は「組織の目標達成」への意欲が先行するのに対し、女性は「人を育てる」ことに重点を置く傾向が強いようです。女性が本能的に備えている「母性」によるものでしょうか。
実際、不安を抱えながらも管理職になった女性たちからは、「自分が手間と時間をかけた部下が成長していく姿を見るのがうれしい」「○○さんの指導のおかげで○○ができるようになりました、と感謝されてうれしい」といった声が聞こえてきます。
組織づくりを行うときには、目指すゴールを見すえてチーム内の役割分担を決めますが、その場合、スポットが当たるメンバーとそうでないメンバーがおのずと区別されがちで、「スタープレーヤー」の陰にフェードアウトしていくメンバーも存在します。これではチームとしての強さにはつながりません。
その点、女性は「成長を支援してあげたい」という思いから、一人ひとりのメンバーの個性や強みにフォーカスし、それを生かす方法を考える傾向があるように思います。結果、個々人の力が最大化されてパフォーマンスが向上し、チームとしての達成に結びつくのです。つまり、長期的視点で組織の活性化、成長を図るためには、女性が得意なマネジメントスタイルが生きるというわけです。
管理職経験を積めば、働き方はより自由に
「出世願望とかないから……」。管理職昇進に前向きではない女性は、そんなふうに言います。でも、管理職になることは、「偉くなる」というより「自由になる」手段であるとしたらどうでしょう。