まだまだ成長を続ける米国のクラフトビール

「Juicy or Hazy」は直訳すれば「汁気の多い、またはかすんだ」となる。飲み物なのに「汁気が多い」というのは変な気がするが、果物、それも特に熱帯地域で取れるものの味わいがあることを示唆している。そうした果物の味わいを持つホップを大量に、しかし工程中遅めに使うことによって、苦味はあまり出さないようにしている。さらに小麦やオーツ麦も使うことによって口当たりをまろやかにし、でき上がりは程度の差はあるが濁っている。

よく造られるようになった地方の名を取って「ニューイングランド(米国北東部6州)スタイル」ともいわれる。日本でも追随して造るブルワリーが続出しているほど、米国外でも人気だ。

WBC授賞式のディナーでもクラフトビールは欠かせない

一方、アメリカンラガーや小麦エール、ブロンドエール、ケルシュといった、色が淡くて味わいも軽めのスタイルの製造量も増えている。これまで米国ではやった米国品種のホップを中心に使ったアメリカンIPAや、アルコール度数を5%未満にして飲み疲れしづらいようにしたセッションビール、酸っぱいビール、そして現在のJuicy or Hazyビールは、いずれも日本でもはやっている。

しかし、色が淡くて味わいが軽めのビールもまた、日本の小規模メーカーが追随するかどうかは、疑問だ。なぜなら、それらのビールは日本の大手メーカーが得意としているもので、既に主力商品としてラインアップしているからだ。国際的な評価を得ている銘柄もある。もし、日本の小規模メーカーが米国の流行の最先端のクラフトビールを取り入れるならば、生産の効率性の面から日本の大手メーカーより高い価格設定にせざるを得ない。そんな状況で、彼らはわざわざ参入していくだろうか。

ピルスナー(左)とコムギエール(右)はいずれも米国ではやると予想されたが、日本でもはやるのか?

米国のクラフトビールはここ日本でも、ビールのイベントや飲食店、小売店などで飲んだり買ったりできる機会が増えている。都市部では最近、そうしたビールを売る酒販の機能を持つ飲食店も出てきて、まだまだ安いとはいえないものの、買える機会は増えている。しかも、どんどん新しい銘柄が出てきている。今何が流行っていて、次にどんなものが来るのかを飲みながら考えるのもまた、楽しい。

(熊谷勇一)