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「貿易戦争」と米株 暴落の歴史忘れるな(平山賢一) 東京海上アセットマネジメント執行役員運用本部長

2018/7/17

「株式市場ではトランプ政権による強硬な通商政策で国際関係が悪化し、グローバル経済も悪影響を受けるとの見通しが強まっている」

米国第一主義を掲げるトランプ政権の通商政策が一段と強硬になっています。攻撃の矛先は中国だけでなく、欧州連合(EU)や日本といった親密国にも及び、「貿易戦争」が現実のものとなり始めています。株式市場でもこのことがグローバル経済に悪影響を与えるとの見通しが強まっています。

米国株(S&P500種株価指数)は2018年1月の過去最高値から半年を経過しているものの、その水準を上回ることができずにいます(7月12日時点)。トランプ政権の強硬な通商政策への懸念が、大型減税や歳出拡大への好感を上回っているためです。また、日本株(日経平均株価)も1月の年初来高値を抜けないままです。中国株も下落基調で推移しています。

■米国株はブロック経済が進む中で暴落

筆者は貿易戦争と聞くと第2次世界大戦(1939~45年)に向かう過程でのブロック経済を思い出します。米国株を見ると、当時との共通点が浮かび上がります。

29年の大恐慌時、米国株は暴落後、32年6月を基準として37年2月に約3.8倍まで上昇しました。以後、世界が第2次大戦に向かう中で米国株は再び暴落するわけですが、最も大きな原因はブロック経済化によるグローバル景気の悪化でした。

一方、現代はどうか。2008年のグローバル金融危機後、米国株は09年2月を基準として18年1月に約3.8倍まで上昇しました。基準から株価ピークまでは大恐慌時が5年弱、グローバル金融危機時が9年強と期間の違いはありますが、上昇は同じ約3.8倍というのは不思議な符合です。株価の上昇基調が足踏みしているときに貿易戦争が取り沙汰されるのは気持ちがいいものでありません。

今回は国際交易の危機を迎えた時代を振り返ってみましょう。1930年代から40年代初めにかけて、日米の貿易摩擦が強まり、米国は日本に対する資源輸出禁止などの措置を発動しました。貿易摩擦は日米間だけではなく、世界中に波及。欧州など諸地域の間に関税障壁が設けられ、ブロック経済化が進みました。いつしか関税引き上げ競争となり、グローバル景気は悪化、各国は第2次世界大戦に突き進んだわけです。

■保護貿易は自国経済にもマイナスとなる

その結果、米国株の下落は加速しました。物資や軍事力で優位に立つ米国ですら株式が軟調に推移したのですから、日本株も上値が重い展開となりました。筆者算出による「昭和初期株式パフォーマンスインデックス」(東京証券取引所の前身である東京株式取引所の短期清算市場で取引されていた流動性高い38銘柄を対象にした株価指数)は一進一退の傾向を示しています。

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