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もうバリキャリでなくていい 女性誌編集長が見た変遷

アラフォーの代弁者 福田葉子・小学館Domani編集長インタビュー

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NIKKEI STYLE

女性の生き方をとらえてきた女性誌の中でも、「言い切り型」のキャッチコピーで人気を高めているのが小学館の「Domani」。2011年から「AneCan(アネキャン)」の名物編集長として活躍し、2016年にDomaniの編集長に就任。現在は女性メディア局コンテンツビジネス室編集長として、女性メディア全般の企画制作を指揮する福田葉子さんに、話を聞いた。

  ◇  ◇  ◇

「35歳から」を「アラフォー世代」に

専属カバーモデルが蛯原友里から小泉里子に交代した2018年1月号で、キャッチコピーを「35歳からの」から「アラフォー世代の」に変えました。35歳とうたうと33歳くらいから読み始める読者も多く、「Domani」より一世代下の読者をターゲットにしていた「Oggi」と読者層が重なっており、ここははっきりと分けようと。結果は狙い通りで、1、2歳はアップしました。アラフォーというと35歳を過ぎてから読むというように受け止め方が変わったのです。

これでアラサーのOggi、アラフォーのDomaniとターゲットが明確になりましたが、その裏には読者の意識の変化もあります。以前の読者はアラフォーという言葉の響きに抵抗を感じていたのですが、今の読者はアラフォーと呼ばれることに抵抗感がない。そこでアラフォー世代が「自分の雑誌」と受け止めるようになった。

誌面作りでも「35歳から」時代は「40代は本当はターゲットではないよね」という空気感がありましたが、今では30代、40代と明確に打ち出せるようになりました。

「ママだからヒールを履かない」時代じゃない

2000年から07年までDomani編集部で現場兼デスクを務め、その後「CanCam」「AneCan」などを経て、16年11月に編集長として戻りました。その間約10年ですが、読者の生き方、考え方の変化にとても驚きました。以前はジル・サンダーやキートンの30万円のジャケットを頑張って買い、誌面に登場する読者もニューヨークの国連会議に出る方や、3人の子どもがいる最高経営責任者(CEO)といったスーパーウーマンばかりでした。

でも今のDomani読者たちは年収1000万円でもユニクロやGUを着る、「無理しない、背伸びしない、必要なものしかほしくない」という等身大を求める層です。女性の働き方は少し前までのCEOのような「バリキャリ系」(バリバリのキャリア系)か、「腰掛け」といわれるような「一般職系か」の二択ではなく、その中間層がボリュームゾーン。仕事か結婚かではなく、仕事も結婚も、仕事もママもと1人何役も務め、働くのが当たり前の時代なのです。

編集長就任時にDomaniの方向性を話し合いましたが、社内の上層部は「働く女性」と「子育て層」は違う、ファッションも違うはずだと捉えていました。でも、周りを見渡せば「私ママだから」とメークを変える人も、「ママだからヒールを履かない」という人もいませんよね。

もちろん子育て層は時短勤務をするなど、独身で働いている女性たちと、ライフスタイルの違いはある。だからといって女性としての意識はそう違わない。ママになって急に老け込むことはないし、体形だって産後すぐに戻します。

そうした働くママにも、保育園に子どもを預けてベビーカーから手を放した瞬間から読んでもらいたいのがDomaniです。ファッションやメークはフラットに考えていいと思うんです。

時間がないのは誰でも同じです。だからこそ、雑誌のコンセプトも「働く女性をラクにする」に変えました。そしてこれまで女性誌がやってきたことは正しかったのかということをゼロから見直し、最初に企画したのが「2017年は『残業しません』宣言」でした。それ以降も、例えば「ファッションも服は2パターンでいい」や、「スニーカーは白と黒と決めればいい」「休日はネイビーでいい」など、すでに考えることもやることもいっぱいある女性たちの、取捨選択を減らしていく誌面作りをするようになりました。

「昇進したくない=仕事したくない」じゃない

ライフスタイルもそうですが、今の読者はお金に対しての考え方も大きく変わっています。基本的に興味は投資一択。お金を払って時間を買う派の読者で、宅配サービスや家事代行、家電も積極活用し、それでも貯金がたまる層です。銀行に預けても「減る」ことはあっても「増える」ことはないという感覚を持っているので、投資をするんです。といってもリスクは取りたくないので、株や外為証拠金取引(FX)ではなく、少額投資非課税制度(NISA)や確定拠出年金についての記事は、定期的にやっても引きがある。

こうした読者層の感覚をとらえるうえで重視しているのが、読者アンケートや交流サイト(SNS)以上に個別に話を聞くことです。読者の顔(声)はSNSだけでは分からないので、毎月3~5人、今回は全員ママ、今回はDomaniを読んだことがない人、次はバリキャリの人など、違うタイプの方に編集部に来てもらい、編集部全員で取り囲んで話を聞くんですね。どんな仕事をしているのか、結婚したのはいつか、出会ったきっかけはなど、もはや「取り調べ」状態(笑)。同じタイプの人で集めても、それぞれ全く違います。

例えば「昇進したいかどうか」をアンケート調査したところ、読者の64%が昇進したくないという結果が出ました。その理由を集まってもらった読者に個別に聞くと、同じ昇進したくない人でも背景はさまざま。本当は昇進したいけれど自信がない人、責任を取ったり時間を割いたり体力を使ったりしたくないから本当にしたくない人、今はしたくない人と、全く違う考え方が見えてきました。この違いはアンケートだけでは浮かび上がりにくいんですね。

一方で目の前の人のこの悩みを解決すると、いろんな人にそれが適用されるということがある。だから目の前の人の悩みを何とかするために、実際の声を聞くわけです。

ちなみに、上の世代の男性たちで誤解する方がいますが、「昇進したくない=仕事をしたくない」ということではありません。今のDomani読者たちは、一生働き続けたい。定年退職してもセカンドキャリア、サードキャリアで働き続けたいという人たち。昇進したくない、残業したくない、でもちゃんと働きたいし働いている自分が好き。ここがとても大事で、読者は働いている自分が好きなんですね。そういう新しい形のライフスタイル、価値観が生まれてきているんです。

なぜ女性だけが輝かなくてはいけないの?

なにしろ社内ではコンセプトについても「ラクにするってなんだ」という反対にあいましたから。「頑張る女性」や「輝く女性」がいいだろうと言われて(笑)。

でも女性は既に頑張っているのに、これ以上頑張れとか輝けなんて言えないですよ。そもそも「輝く男性たち」「輝くおじさんたち」なんて打ち出し方、見たことがないと思いませんか? なぜ女性は家でくつろいでいるときでも、外で仕事をしているときでも、キレイにして、輝いていなければならないのかと。

2018年3月号の「男もつらいよ。ワーパパの哀しみブルース」企画では、「お父さんや夫は意外と気を使い、大変だということを分かろう」「そのうえで家事や育児はこういうやり方でやらせよう」という記事を掲載しましたが、この記事の一部をウェブで読んだ人たちの間で「ワーパパなんて全然大変じゃない」「自分はもっとやっている」「助ける、手伝うとは何だ!」という議論が起こり、いわゆる「炎上」しました。

それでも女性たちはどうしたって頑張ってしまうのだから、頑張りどころを決めたら他は頑張らない、ここは手を抜いていいとか、任せていいとか、「ラクにする」ことを考えていくことのほうが関心事なんだと改めて感じました。

「ちゃんとしてない症候群」から脱却しよう

実は編集長になる直前、病気で3カ月ほど会社を休んだのですが、休むことで初めて産休や育休を取るママたちの「不安」な気持ちも分かりました。産休や育休から復帰した同僚や部下たちを見ながら、常々「もう帰ってきたのか」と早く感じていました。ところが実際は、職場を離れるとこんなにも「浦島太郎」な気持ちになるのだなと。

でもこれがきっかけで、そろそろゆっくり働かなければいけないのかなと思えた。

私も含めて、働く女性は「ちゃんとしてない症候群」に見舞われています。それぞれが置かれた立場によって「ちゃんと結婚してない」「ちゃんと出産してない」「ちゃんと育児できていない」「ちゃんと仕事できていない」「プライベートがちゃんとしていない」「おしゃれがちゃんとできていない」「美容がちゃんとできていない」と、「ちゃんとしてない」ことを気に病んで、また頑張ってしまう。

でも本当は、誰かと比べなくていいし、誰も「ちゃんと」なんてしなくていいんです。

私は「フォーク理論」と呼んでいるのですが、子どもがいる、結婚している、昇進しているなど女性はそれぞれのフェーズで友人でも関係や気持ちが離れていく時期があるもの。でもそれがある時期になると、右から左にフォークをひっくり返すように、また一緒になる時が来る。一緒になるまではフォークのようにそれぞれが並行して悩み、頑張っているということを、お互いに感じていればいい。

もう皆、大人げない大人でいい。昔のバリキャリは弱みを見せない人たちだったかもしれませんが、今は自分ができないことを認める働き方をすればいい。そんなことを提案していきたいと思っています。

福田葉子
 1970年生まれ。鹿児島県出身。1993年、小学館に入社。プチセブン、CanCam、Domani編集部を経て、2011年よりAneCan編集長。2015年WEBメディアを経て、2016年11月よりDomani編集長。 2018年7月12日より女性メディア局コンテンツビジネス室編集長に就任。趣味は、落語、ゴルフ、映画鑑賞。

(ライター 山田真弓、写真 厚地健太郎)

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