主食は茶色、卵は週6個まで 健康な食事9つの常識

日経ヘルス

2018/7/13

一方、茶色い炭水化物は精製していない全粒粉や玄米、雑穀類、そばなどだが、「あるメタアナリシスによれば、茶色い炭水化物を多く食べる人は、食べない人に比べて死亡率や脳卒中、心筋梗塞のリスクが低いことがわかっています」と津川さん。つまり、白と茶色では体に与える影響が逆というわけだ。

「白米と糖尿病に関するメタアナリシスでは、白米の摂取量が1杯(158g)増えるごとに糖尿病になるリスクは11%増える。日本人の観察研究でも、白米の摂取量が多いほど糖尿病のリスクが高かった。白米もできるだけ減らすのがいいと考えます。どうしても白米を食べたいなら、毎日1時間以上の激しい運動をすることで糖尿病のリスクを減らせる可能性はあります」(津川さん)。あくまで、炭水化物の量を減らして「がまん」するのではない。「白を茶色に置き換える意識を。そうすれば、ダイエットも成功しやすい」(津川さん)。

全粒穀物に関する14の研究を統合したメタアナリシス。全粒穀物を1日70g食べていた人は、ほとんど食べていない人に比べて死亡リスクが22%低かった。この研究では、健康のためには少なくとも毎食16g(1日48g)の全粒穀物をとり、精製穀物の摂取を減らすことを推奨している。(データ:Circulation;133,24,2370-2380,2016)
■研究データにはエビデンスのレベルがある

医学研究は4つに大別され、エビデンスレベルが異なる。「ランダム化比較試験」は、くじなどでランダムに、特定の食品を摂取する群としない群を分けて、その違いを分析。「観察研究」は、食事データを集めて、特定の食品の摂取量ごとに群で分けて分析する。ランダム化比較試験の方がエビデンスは強い。「最強のエビデンス」は、複数のランダム化比較試験や観察研究を取りまとめた「メタアナリシス」だ。

(2)健康に良いたんぱく質のとり方

Q 卵はいくら食べてもいい?
A 1週間に6個までに抑えましょう

「卵はコレステロールが多いから1日1個が目安」とされていたが、食事でとるコレステロールの量と血液中のLDLコレステロール値には強い相関がないとわかり、コレステロールの摂取目標量が撤廃に(『日本人の食事摂取基準2015年版』 )。

だが、「卵をいくら食べてもいいというわけではない。卵を1日1個以上食べる人は、ほとんど食べない(1週間に1個未満)人に比べて糖尿病を発症するリスクが42%高いというメタアナリシスがある」(津川さん)。

つまり、卵をたくさん食べてもコレステロール値は上がらないかもしれないが、糖尿病のリスクは高まるということだ。「ほかの研究結果を見ても、卵の摂取量は1週間に6個までに抑えるのがよいようだ」(津川さん)。

1日に1個以上の卵で心不全のリスク高まる 男性の医師21275人を対象とした、卵の摂取量と心不全に関する調査。卵の摂取量が1週間に1個未満の人の心不全のリスクを1とした場合、1日に1個で1.28倍、1日に2個以上で1.64倍だった。(データ:Circulation;117,4,512-516,2008)
Q 魚がいいといっても、有害物質の影響は?
A 心筋梗塞やがんのリスクを下げるメリットの方が大きい

「魚を1日に85~170g食べると心筋梗塞による死亡リスクが36%低下する。また、魚の脂に多いn-3系脂肪酸を1日0.1g多く摂取するごとに、乳がんになるリスクが5%下がる」(津川さん)。 鮭100gには0.92gのn-3系脂肪酸が含まれている。つまり、ごく少量の魚でも、コツコツとれば乳がんの予防になるのだ。

「魚には水銀やPCB(ポリ塩化ビフェニル)、ダイオキシンなどが含まれるとされるが、10万人が週2回70年間鮭を食べ続けた場合、PCBによって生じるがんで24人の命が奪われる一方で、心臓病のリスクを下げることで7000人の命が助かるという研究がある」(津川さん)

Q たんぱく源である肉や魚はどうとるべき?
A 牛や豚、加工肉(ベーコン、ソーセージ)を減らして、鶏肉や魚に

2015年10月、世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関(IARC)が「加工肉は発がん性があり、赤い肉はおそらく発がん性がある」と発表した。

この場合の加工肉はハム、ベーコン、ソーセージなどで、赤い肉は牛、豚、羊、馬など見た目が赤い肉を指す(霜降りの肉も含まれる)。

「加工肉や赤い肉の摂取量が増えるごとに脳卒中のリスクや脳卒中や心筋梗塞による死亡率が上がるというメタアナリシスもあります。普段の食事では、加工肉や赤い肉の代わりに、健康に良い魚のほか、白い肉である鶏肉を食べることを薦めています」(津川さん)

(3)健康に良い乳製品・油 のとり方

Q バターとマーガリンは、バターの方がいい?
A どちらも避けたい食材。オリーブオイルに

バターは飽和脂肪酸が多いので体に悪いとされてきたが、それほど悪くないとする研究も出てくるなど、復権しつつある。「メタアナリシスでは、バターを小さじ1杯(14g)とるごとに死亡率がごくわずか(1%)上がるだけ。確定的なデータが出てくるまで控えたほうがいいと考えています」と津川さんはいう。

かつて、植物油を原料とするマーガリンは、バターよりヘルシーだと考えられていたが、加工の際に生じるトランス脂肪酸が心臓病のリスクを高めることが判明。「最近出回っているトランス脂肪酸低減マーガリンは、バターよりも健康にいいと考えられていますが、まだ十分な研究が行われていないため、油をとるなら健康に良いことが明らかになっているオリーブオイルをお薦めします」(津川さん)。

健康に良いグループ1は「地中海食」に近い

上は、体にいいといわれる「地中海式食事法」を表したもの。「地中海式食事法は、がんや脳卒中のリスクを下げるというエビデンスが複数ある。健康に良いグループ1をとり、健康に悪いグループ5を避ければ、地中海食とほぼ同様の効果が得られる」(津田さん)。
Q ヨーグルトや牛乳はどうとればいい?
A とりすぎには注意。1日にヨーグルトなら450gまで、牛乳ならコップ1~2杯を上限に

乳製品は健康に良いという情報が多いが、ヨーグルトはグループ2だ。

「牛乳を1日にコップ1杯多く飲むごとに卵巣がんのリスクが13%上昇すると示唆するメタアナリシスがあります」(津川さん)

米国の農務省は食事ごとに乳製品をとることを推奨しているが、「ハーバード大の研究者はそれには科学的裏付けがないと主張し、1日に牛乳ならコップ1~2杯(200~400ml)、ヨーグルトなら170~450gを“上限”としている」(津川さん)。

「ヨーグルトの摂取量が多い人ほど糖尿病のリスクが低くなる可能性を示す研究もあるが、大人は、乳製品の摂取はほどほどにするのがいいようです」と津川さん。ちなみに、日本の『食事バランスガイド』では、乳製品は牛乳なら1日に1本(200ml)を「推奨」している。

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(4)健康に良い野菜・果物・ナッツのとり方