情報があふれ、健康意識の高い人ほど、何を食べるべきか迷いがちではないだろうか? 「最強のエビデンス(科学的根拠)で裏付けされた食品を知れば選択に迷わない」という、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)内科助教授の津川友介さんに、現時点で最も正解に近いと思われる食事について聞いた。
◇ ◇ ◇
「◯◯を食べると健康に良い」という根拠として、「研究によると、○○を食べた人の方が××になるリスクが低かった」などとデータについて触れられていることがある。
こういったデータをエビデンスというが、「エビデンスには強弱がある。1つの研究結果では、エビデンスは弱い。最もエビデンスが強いのは、信頼できる複数の研究を取りまとめて解析した結果です」というのは、UCLAの津川さんだ。
1つの研究では、たまたまだったかもしれないし、特定の集団にしか認められないパターンだったかもしれない。しかし、「10個、20個もの研究が同じ結果を証明していれば、それはかなり信頼できる。このように複数の研究を取りまとめて解析する研究手法を『メタアナリシス』といいます」(津川さん)。
津川さんによると、上図のグループ1と5はメタアナリシスで、健康に良い、悪いが明らかになっているものだ。「グループ2は少数の研究はあるが、健康に良いのかどうか確定的なことはいえない食品です」(津川さん)。
では、健康的な食事を追求して、グループ1だけを食べればいいのだろうか? 「そういうわけではありません。何を食べるかを選択するときに、この事実を判断材料にしてほしいのです。例えば、マヨネーズはグループ4ですが、食べると幸福度が上がると思うなら、幸福度と健康をてんびんにかけて、たまにマヨネーズを使うという選択は合理的です。5つのグループを知っていれば、情報に振り回されずにすむはずです」(津川さん)。
【ジャンル別健康に良い食品】
(1)健康に良い炭水化物のとり方
A 全粒粉、玄米など未精製なのが「茶」です。小麦粉、白米など「白」をできるだけ「茶」に変えましょう
近年、糖質制限ダイエットの流行により、ご飯やパンなどの主食を抜いたり、減らしたりしている人が多い。しかし、「炭水化物ならすべて減らすのではなく、種類を選ぶべきです」と津川さん。
白い炭水化物とは、穀類を精製した小麦粉や白米などだが、これらは血糖値を上げ、動脈硬化による疾患(脳卒中や心筋梗塞)のリスクを高める。