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海外セレブ、日本酒で一杯がステータス 泡や古酒人気

世界で急増!日本酒LOVE(2)

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NIKKEI STYLE

海外セレブの間で日本酒がブームだという。関税や輸送コストの影響もあり、海外では日本酒の価格は高くなりがちで、ハイエンドなすし店などで味わう高級酒というイメージが定着している。このため海外では日本酒をたしなむことが一種のステータスになっているというわけだ。ビジネスで成功したエグゼクティブが優雅に日本酒を味わう。そんな姿に憧れる外国人ビジネスパーソンが増えているようだ。今回はそうした海外の富裕層を相手に、日本酒の魅力を広める女性経営者に取材した。接待に使う高級酒として、日本酒をどうアピールしているのかを探った。

海外の富裕層に日本酒を売り込んでいるのは舘谷葉子さん。ジャパントレジャーファインド(東京・杉並)の代表取締役で、スウェーデン・スイス・オーストラリアを拠点に、欧米の富裕層などに日本酒を紹介している(国内の販売はしていない)。外資系金融機関で働いていたことから、グローバルな人脈を持っており、それを生かして活動している。

さらに一般社団法人の日本のSAKEとWINEを愛する女性の会(通称、SAKE女の会)のメンバーとして、外国人などに日本酒セミナーなども開催している。

「外国人向けの日本酒セミナーが増えています」と話す舘谷さん。最近の例では、米国で上場し日本でも事業展開する大手製薬会社の外国人役員向けに、日本酒セミナーを実施した。外国人の経営幹部は日本人とチームビルディングするにあたり、日本酒の歴史や味わい方などをセミナーで習得した。「日本酒は日本人とのコミュニケーションの一助になる」(舘谷さん)と考えているからだという。

この幹部らは食通でワイン愛好家が多く、ワインと比較しながら日本酒を楽しく学んだ。さらに理系出身者が多いことから、酵母や醸造にも詳しく、会話が大いに盛り上がったという。「日本酒は外国人ホワイトカラー層の間で、一種のステータス・シンボルともなっています」(同)。

「米国のようなある程度成熟したマーケットでも倍以上の価格で販売されていますし、北欧やオーストラリアなどでは国内小売価格の3~4倍程度で日本酒が販売がされています」(同)。舘谷さんは日本での外国人向けセミナーだけでなく、世界各国でも日本酒を売り込むためにセミナーなどを開催している。そこで分かるのは、国ごとに日本酒の人気銘柄が異なる点だ。

舘谷さんの日本酒輸出先の1つ、スウェーデンでは「日本酒デビューという人でも、フルーティーな大吟醸より、香りが穏やかでキレのよい辛口のお酒や純米酒などのコクのある旨口系の方を断然好みます」(同)という。

スウェーデンではスピリッツ類がよく飲まれ、酒に詳しい国民も多い。一般にビギナー向けとされる甘口やフルティーな酒はあまり支持されないのだという。テイスティングセミナーでも、残さずに全種類の日本酒を飲み干す人が多く、舘谷さんも驚いた。

人気の銘柄は「弥右衛門」(福島/大和川酒造店)のような芳醇(ほうじゅん)で骨格のしっかりとした酒や、「一ノ蔵 無鑑査本醸造超辛口」(宮城県/一ノ蔵)などの辛口系の酒、「玉乃光 純米吟醸CLASSIC」(京都府/玉乃光酒造)など伝統製法で仕上げた力強い味わいの生(き)もと・山廃仕込み系の酒だ。

国に関係なく、エグゼクティブ層に広く人気の酒としては「長良川 T-406」(岐阜県/小町酒造)や、「一ノ蔵 濃醇熟成酒 招膳」「Madena」(宮城県/一ノ蔵)といった古酒という比較的新しいジャンルの酒だ。食通が多いエグゼクティブ層は料理とのペアリングを考えて、大吟醸より辛口でコクのあるお酒を選ぶ傾向が強いという。さらに濃厚で複雑な味わいや香りが広がる古酒に興味津々なのだ。

外国人に大人気とされる華やかな吟醸香の日本酒や、コンペティションでの優勝銘柄などは富裕層の間では、すでに浸透しているケースも多い。このため、新しいジャンルの古酒の方に関心が向きやすい。ウイスキーやワインも年代物は高級品であるように、日本酒の古酒に対しても同じ価値観を持っているようだ。

また世界のセレブの間では日本酒のぬる燗(かん)・熱燗(あつかん)も人気が高い。ドイツやフランス、スイスには冬の定番として、スパイシーでほんのり甘いグリューワイン(ホットワイン)を飲む習慣があるが、グリューワインと比較しながら日本酒のぬる燗・熱燗を楽しむ富裕層もいる。

驚くのはオーストラリアの超富裕層だ。リゾート地としても知られるアデレードには、地元の名士だけが集う超富裕層限定の会員制クラブがある。「ここの会員は年収3000万円は珍しくなく、年収1億円以上の会員も多数います」と舘谷さんは語る。地元の名士だけが集う超富裕層限定のダイニングバーに、日本酒を輸出している。

中でも人気なのが日本酒スパークリング。「菊泉ひとすじ」(埼玉県/滝澤酒造)はシャンパンと同じ機械をフランスからわざわざ輸入して、シャンパンと同じように製造された瓶内二次発酵の透明な強炭酸スパークリングだ。「富裕層はやはり『本物』や『一流』が大好きですね」(同)。

ハレの日に泡酒を飲む習慣は世界共通で、日本酒のスパークリングという意外性で注目を集めており、欧州でも人気だという。

ほかには価格がリーズナブルで、旨口系日本酒として高評価の「大七純米生もと」(福島県/大七酒造)や、同じ生もとでも上品で洗練された味わいの「大七箕輪門」(同/同)なども人気がある。オバマ前米大統領にも供された酒の蔵として外国人に特に認知度が高い賀茂鶴酒造(広島県)の「大吟醸 特製ゴールド賀茂鶴」なども不動の地位を占める。製法は異なるが、いずれも全体的なバランスが良く、料理に合わせやすいので外国人ファンが多いという。

日本酒を海外に売り込むビジネスは現在、大手の卸売事業者がメインだ。舘谷さんは大手の戦略とは一線を画した独自の方法で日本酒を海外に売り込んでいる。

舘谷さんは大手と被らない蔵元や日本酒の普及が遅れている海外の都市部を探し、高級飲食店や富裕層に直接訪問して売り込んでいる。リゾート地には富裕層の別荘も多く、そうしたエリアで独自にルートを開拓している。「効率はあまり良くないですが、美食家が多く、日本酒に興味を持つ層が確実に存在するからです」と舘谷さんは見ている。

舘谷さんの日本酒のプレゼン方法は至ってシンプル。日本酒の説明をして、テイスティングをしてもらう。そして蔵元の熱意を必死で伝えるだけだ。

舘谷さんが外資系金融機関から、日本酒の世界に転向したのには訳がある。東日本大震災で大打撃を受けた福島の酒の名誉を挽回したいという思いがあったという。日本酒の魅力を伝える姿勢に熱がこもる理由はここにあるのだろう。

自身は福島県の末廣酒造の酒に感動した。しかし東日本大震災が起きて、「福島の酒というだけで海外の人に嫌われていました。香港の知り合いが福島の酒のボトルを放射線検知器でチェックしているのを見て、がく然としました」という。舘谷さんは一念発起し、脱サラを決意。その後3年で、きき酒師、国際きき酒師、酒匠(さかしょう、日本酒のテイスティング専門資格)、日本酒学講師(日本酒を教えることができる資格)、そしてワインソムリエ、一般酒類小売業免許……と酒関連の資格を相次ぎ取得。世界に日本酒の魅力を精力的に伝え始めた。

日本酒は海外では高級品。「まずはハイエンドな層に日本酒を売らないと成功しないと思っている」と言う舘谷さん。現地の富裕層にダイレクトに売り込み、その価値をわかってもらえれば、いずれ各国のすそ野まで日本酒熱は広がるはずと信じている。繊細な日本酒の品質管理が行き届かない可能性があるので、あえて現地のスーパーなどには卸さず、酒の価値が分かる人々に個別に直接売り込んでいるのだという。

(GreenCreate 国際きき酒師&きき酒師 滝口智子)

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