マネー研究所

日経マネー 特集セレクト

「株は損をするからこそ面白い」外山滋比古さん 株投資歴65年、知の巨人が明かす実践術(中)

日経マネー

2018/7/19

外山滋比古さんは「新聞の株式欄の数字が目の前で動き出したように感じて、『株って生き物だな』と思った」と話す。(撮影:川田雅宏)
日経マネー

知的な生き方や思考の方法論などの著作で知られる英文学者の外山滋比古さん。30歳だった1953年から株式投資を始め、65年にも及ぶ投資経験から得た哲学やノウハウについて聞いた。2回目は最初に勝った銘柄、大化け株、失敗について語ってもらった(前回記事「英文学者・外山滋比古さん『株は上質なギャンブル』」はこちら)。

◇  ◇  ◇

──株式投資を始めたのは、30歳になった1953年。今から65年も前のことです。

「最初に買った銘柄は今でも覚えています。旭硝子(現AGC)、日本光学(現ニコン)、キリンビール(現キリンホールディングス)、東京製鋼の4銘柄を200株ずつ買いました。全部で11万円。今の価値にすると、100万円くらいかな。4銘柄とも50倍以上にはなった。

堅実に財産を築く目的で始めたのですが、すぐに不思議な面白さを感じてね。新聞の株式欄の数字が目の前で動き出したように感じて、『株って生き物だな』と思いました。それで94歳になった今でも続けています」

──最も損を出した失敗は?

「会社が潰れて丸々損をしたこともあります。それも1社だけじゃない。7~8社はあるかな。悔しい思いをしたから、社名は忘れちゃったけど。金額でいうと、最大で1000万円くらいを失った。ですが、それも一喜一憂のうちです。一憂があれば、『次にはいいことがある』と思う。実際、帳消しになるんです。だから面白い」

──帳消しになる……。

「要は、上質なばくちであると思ってやれば、すごくひどい目には遭わない。のめり込み過ぎて全財産をつぎ込んだり、銘柄を一つだけ選んでそれだけに投資したりといったことをしなければね。

それと気に入ったものを色々と選んで分散投資することです。その結果がうまく行かなくても、自分で考えたことなら、他人を恨もうにも恨みようがない。自業自得ですから。続けているうちに、『こういうのはちょっと危ないな』と考えるようになって、失敗することは段々少なくなりますね」

■大化け株は“偶然”の産物

「『儲けよう』という気持ちがあまりなくなると、儲かるようになります。若い時は『何とかして儲けてやろう』として失敗する。年を取って、『貯金するよりは少しましならいいか』という思いでやっていると、案外とびっくりするような儲けが出ます」

マネー研究所 新着記事

ALL CHANNEL