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英文学者・外山滋比古さん「株は上質なギャンブル」 株投資歴65年、知の巨人が明かす実践術(上)

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2018/7/13

外山滋比古さんは「ギャンブルは人間にとって極めて有用な精神的刺激」と話す。(撮影:川田雅宏)
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知的な生き方や思考の方法論などの著作で知られる英文学者の外山滋比古さん。30歳だった1953年から株式投資を続けてきた長期投資家としての側面を持つ。65年にも及ぶ投資経験から得た哲学やノウハウについて聞いた。3回に分けて紹介する。1回目は高齢者に株式投資を勧める理由を語ってもらった。

◇  ◇  ◇

──近著『知的な老い方』で、年齢を重ねたら挑戦すべきことの一つとして、個別株への投資を挙げられていらっしゃいます。

「高齢者にとって、株式投資が一番の生きがいになる可能性があることに気付いたからです。定年退職を迎えてリタイアした方々は海外旅行などの余暇を楽しんでおられます。ですが、それは一過性のものです。やることがなくなれば退屈して、言い方は悪いが、いずれぼけてしまいかねない。一方、株式投資を始めると、それにはまって、中には「明けても暮れても株」という人も出てくる。一種のギャンブルとして生き生きと株式投資をすれば、常に一喜一憂する。ぼけてなんていられません。

株式投資といってもNISAで投資信託を購入するなんてのでは駄目ですよ。安全すぎる。面白くないでしょ。それに、自分で勉強して個人の責任で銘柄を選ぶことに意味がある。それで配当と値上がり益を合わせて、平均して毎年7%くらいの利益を上げることができれば、10年で資産は2倍になる。しかも、その気になれば、90歳や100歳になってもできます。こんなにいい老化防止の手段はないでしょう。生き生きと取り組むから、病気にもならない。医療費の抑制にもつながる。国の社会保障費も大きく減少します。

日本国民の金融資産の約1800兆円のうち、1000兆円は預金だという統計数字もありますよね。その大半を所有しているのは高齢者でしょう。その高齢者たちが株式投資を盛んにするようになり、1000兆円の2~3割の200兆~300兆円が株式市場に回れば、すごいことになります。日本株は米国株をはるかに上回るペースで上がるでしょう」

■損をするのは運の悪い人

──そうかもしれませんね……。

「ただ、株式投資にギャンブル性があるのも事実。昔から『株はいけない』と言っている人はギャンブル性があることを理由にしている。ですが、ギャンブルは人間にとって極めて有用な精神的刺激なんです。年寄りが生き生きとするには、良いことばかりでは駄目。それではぼけてしまう。証券会社など他人任せではなく、自分で銘柄を選んで売買する。それですごく儲かることもあれば、大きな損を被ることもある。そうして一喜一憂することが、人間が生き生きと生きていくためには必要なんです。損しても、それで生活ができなくなるほどでなければ、『治療費代わり』と思えばいい。多少損をしても、病院に通って薬代を払うよりはずっといい」

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