オリパラ

紙面から

カナダで「普通の夫」も日本では絶賛 喜んでいいの? マセソン美季さんのパラフレーズ

2018/7/13 日本経済新聞 朝刊

マセソン美季さん

先月末、「スポーツにおける女性の活躍と男女の健康支援」をテーマにしたシンポジウムが東京で開かれ、パネリストの一人として参加した。

男性も女性もあらゆる分野で活躍できる社会に向け、内閣府男女共同参画局が毎年開く全国会議で、東京五輪・パラリンピックを見据えて今回はスポーツを取り上げた。登壇者が自身の経験や現状を踏まえた意見を交わし、スポーツ界の男女共同参画に一石を投じる場となった。

世界経済フォーラムが発表するジェンダーギャップ指数。男女格差の度合いを経済参画、政治参画、教育の到達度、健康の4項目で指数化したものだが、昨年の日本は144カ国中114位。よく知られるように、G7参加国で最悪という結果だ。

もしスポーツ界にジェンダーギャップ指数が存在したら、日本の指数はやはり低いだろう。だが、それを伸びしろととらえ、今後の変革が期待できるという感想を抱いた。東京大会を機に、こうした話し合いの場が持たれ、耳を傾ける人がいるのは素晴らしいことだと思う。

閉会後、コーディネーターを務めた順天堂大女性スポーツ研究センター長の小笠原悦子さん、パネリストの東大医学部産婦人科医の能瀬さやかさん、筑波大教授の山口香さんらと話をしている時に、我が家のカナダ人の夫のことが話題になった。

私が海外出張で家庭を留守にする時に「子どものことは気にしなくていいから、いい仕事をしてこい」と送り出してもらっている話や、帰宅時に感謝の言葉を伝えると「お礼を言うのはおかしい。僕だって親。男も子育てをするし、しなければ父親というのは単なる肩書になってしまう」ととがめられた話を紹介すると、こぞって「いいわね」「旦那様、素晴らしい!」とお褒めの言葉をいただいた。

うれしいことだけれど、同時に「ビッグ・イン・ジャパン」というダンス音楽が頭に浮かんだ。「日本で人気がある」転じて「日本でしか売れない」ことを揶揄(やゆ)するタイトルだ。海外では平々凡々なことが、日本ではもてはやされる。夫の振るまいが、「ビッグ」でなくなるのはいつのことかしら?

マセソン美季
1973年生まれ。大学1年時に交通事故で車いす生活に。98年長野パラリンピックのアイススレッジ・スピードレースで金メダル3個、銀メダル1個を獲得。カナダのアイススレッジホッケー選手と結婚し、カナダ在住。2016年から日本財団パラリンピックサポートセンター勤務。

[日本経済新聞朝刊2018年7月12日付]

マセソン美季さんのコラム「マセソン美季さんのパラフレーズ」をまとめてお読みになりたい方はこちらへどうぞ。

オリパラ新着記事

ALL CHANNEL