年金・老後

定年楽園への扉

シニアの運用 「損失限定型」投信が最適って本当? 経済コラムニスト 大江英樹

2018/7/26

写真はイメージ=123RF

最近、投資信託で「損失限定型」と呼ばれる商品が注目されています。基準価格が下落しても損失が限定されるという内容で、特に老後資金を運用するシニア層に最適の投信といわれます。本当なのでしょうか?

こうした商品に興味を持つのは「投資はしてみたいけれど、損をするのが不安」という人たちです。だからこそ、虎の子の退職金を少しでも増やそうとしているシニアに最も合う商品という位置づけなのでしょう。

しかしながら、「もうけたいけど損はしたくない」というようなうまい話は世の中にありません。もうけたければ損を覚悟しておかないといけないし、損するのが嫌ならもうけを諦めなければなりません。

■運用では低リスク・高リターンはあり得ない

運用の世界ではリスクとリターンはトレードオフ(両立しない関係)です。つまり、低リスクなら低リターンであり、低リスク・高リターンはあり得ません。

損失限定型投信は多くの場合、株式などのリスク資産の保有を低めにする一方、短期金融資産(実質キャッシュ)を高めにするのが基本構造です。すなわちこれは、値下がりによる損失を限定する代わりにリターンを諦めるということです。損失限定型というと新しさを感じるかもしれませんが、仕組み自体は珍しくありません。

問題はコストです。実際に発売されているこのタイプの投信は、運用のコストである「信託報酬」が年1%前後が多いようです。運用管理に手間をかけたりするとの理由で、費用が高めになっているのが特徴です。

仮に投信から得られるリターンを約3%としても正味のリターンは2%前後にとどまります。意見は分かれるでしょうが、2%のリターンを得るために1%のコストを払うのはどうなのでしょう? 筆者はコストはもっと低くてしかるべきだと考えます。

■インデックス投信と定期預金を組み合わせる

その気になれば、このタイプの投信を買わずとも低コストで同じような投資は可能だと思います。

具体的に説明しましょう。損失限定型投信では株式の組み入れ比率が10~20%程度です。残りは債券や短期金融商品で運用されています。同じ100万円投資するなら、定期預金に80万円、株価指数に連動したインデックス投信に20万円それぞれ資金を振り向ければいいのです。おおむね同じような運用成果を出せるはずです。

年金・老後 新着記事

ALL CHANNEL