勤務自由の「プロ顧問団」 ハウステンボスを面白く
エイチ・アイ・エスの沢田秀雄会長兼社長(CEO)
2010年、ハウステンボスの再建に乗り出すと決めた沢田氏(左から3人目)は地元の関係者とともに記者会見した
エイチ・アイ・エス(HIS)の沢田秀雄会長兼社長は一代で旅行、ホテル、テーマパーク、電力、エネルギーやロボットなど様々な事業を抱える企業グループを築き上げました。組織を拡大していくとき、大事なのは人材の問題です。沢田氏はどうやって人材を育て、管理してきたのでしょう。組織づくりや人事の考え方を聞きました。
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30人の組織なら、トップ1人で全てをみられます。社長を含めて全員一緒に仕事をしているような形が取れるからです。誰が怠けていて、誰が優秀かも分かります。しかし、企業が成長し、従業員が300人を超えるようになると、社長は全体を見渡せなくなるんです。そばにいる人間はともかく、離れている人は見えない。
会社が育てば、組織も必要に
だから企業経営では、従業員が300人を超えたら、もう一段きちっとしたシステムが必要になるのです。総務、人事、経理といった管理部門・組織をつくり上げないと、会社は回らなくなります。例えば、人事部が適切に人材を評価し、従業員一人ひとりをケアしないと、会社の成長は止まってしまいます。
30人と300人では、やり方の質が全然違うわけです。これが1000人、1万人となっていくと、またもう一段違ってきます。子会社にするとか、収益責任を明確にした事業部制にするとかしないと回らなくなります。子会社や事業部にそれぞれ社長や責任者がいて、独自に決裁して利益を出すという形でないと、大きく育たないですね。
子会社や事業部の命運はトップで決まります。だから全体のトップに立つ者には、人を見る目が必要になるんです。子会社や事業部を任せる人の条件は、やはり仕事ができる、結果を出せることです。組織を成長させ、売り上げと利益を伸ばし、きちっと部下のマネジメントができる人材でないといけません。それには人間性がいいとか、運があるとか、真面目に頑張って仕事をするとか、様々な要素が必要です。