真夏に多い尿路結石、なりやすいのは男女どっち?
この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)男性
(2)女性
正解は、(1)男性です。
尿路結石は圧倒的に男性に多い
「痛みの王様(king of pain)」の異名を持つほど、激烈な痛みを特徴とする尿路結石は、夏になると患者が増えてきます。「夏は体内の水分が汗として多量に出ていくので、毎日1~1.5リットル出るはずの尿量が少なくなります。尿が濃縮されると、尿中の成分が飽和状態になって結晶化し始めるのです」。そう話すのは、大口東総合病院泌尿器科部長の松崎純一氏です。
松崎氏によると、尿路結石の患者の男女比は、2.4対1と、圧倒的に男性に多いそう。「尿路結石が女性に少ないのは、女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンが関係するといわれています。閉経すると女性にも増え始めます」(松崎氏)。
どんな気丈な人も救急車を呼ばざるを得ないほどの痛み
尿路結石は、尿の中に溶け込んだ老廃物の成分が固まり、結晶化したものです。多くの場合、腎臓の中にできますが、腎臓にあるうちはあまり痛くありません。石が尿管に出て途中で挟まると、尿の流れが遮断され、腎臓の内圧が上昇して痛みが出ます。「痛みとして感じるのはわき腹や腰背部で、どんな気丈な人も救急車を呼ばざるを得ないほどの痛みです。さらに、発熱、吐き気、血尿などの症状が出ることもあります」(松崎氏)
石ができる背景には、食生活の欧米化があります。松崎氏は、「動物性脂肪の多い食事、例えば、バターやチーズ、卵などを含む食事が続くと、カルシウムやシュウ酸が尿へ溶け出す量が増え、カルシウム結石[注1]ができやすくなります。また、尿は本来、弱酸性ですが、こうした食事で尿が酸性に傾くことも、尿路結石に影響するとされます」と解説します。尿路結石は糖尿病、高血圧、痛風、脂質異常症などの患者に多く、メタボリックシンドロームとも深い関係があることが分かっています。
小さい石なら自然に出てくるが、問題は再発率の高さ
治療は、石を出しやすくする薬や鎮痛薬を使いながら自然に石の排出を待つ方法と、レーザーや衝撃波を使って石を砕く手術療法があります。「4mm以下の小さい石なら、8割は30~40日で自然に出てきます。1日2リットル以上の水分摂取をしながら、縄跳びのような上下運動を行い、さらに薬を使って排出を促します」(松崎氏)
ただし、尿路結石のやっかいな点は、再発が多いことです。カルシウム結石は5年で45%も再発することが知られています。「痛みが治まると、患者さんは治ったと思って油断しがちですが、再発してしまうと、慢性腎臓病などの深刻な病気に進行するリスクも高まります」(松崎氏)。再発予防のポイントは、1日2リットル程度の水分摂取と、運動、バランスの取れた食事[注2]。その上で、定期的に通院して再発の有無をチェックしてもらうことが大切です。
[注1]カルシウム結石:カルシウムと他の物質がくっついて石になったもので、尿路結石の8~9割を占める。
[注2]尿路結石の再発予防には、1日600~800mgのカルシウムを摂取し、シュウ酸を多く含む食材(葉菜類、タケノコ、紅茶、コーヒー、玉露・抹茶、チョコレートなど)をできるだけ避けることが推奨されている。
(日経Gooday編集部)
[日経Gooday2018年7月2日付記事を再構成]
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