KDDIは通信なんでも屋 挑む「ガイジン」マーケター
KDDIソリューションマーケティング部部長 中東孝夫氏
KDDIソリューションマーケティング部部長の中東孝夫氏
KDDIのソリューションマーケティング部部長として法人マーケティング部門を率いる中東孝夫氏は、外資系IT企業などでBtoB(企業向け)マーケティングを進めてきた手腕を買われ、2016年に入社した。携帯電話の国内市場が飽和状態とされるなか、自身の役割を「社員の意識を変革してKDDIの立ち位置を変えること」と話す中東氏に、マーケティングの要点を聞いた。
「ケータイ屋」脱却こそ使命、市場見る目を前向きに
――KDDIで、どんな役割を求められていますか。
「経営陣が私を入社させたのは、マーケティングの目を入れてKDDIの変化や成長を加速させるためだと思っています。KDDIを単なる『ケータイ屋』でなく、通信関連なら何でもできる企業、という立ち位置に変えるのがマーケティング責任者としての私の仕事です」
「マーケティングの目とは、市場に対する見方をポジティブにすることです。例えば、日本の市場を『人口減少は避けられない』と分析するとします。それをケータイが売れなくなるとネガティブにとらえるのでなく、むしろビジネスチャンスが広がると考えるのです」
「ビジネスチャンスのひとつの例がドローン(小型無人機)です。携帯通信用のネットワークを使えば、ドローンをかなり遠くまで飛ばせるので、小口配送や広範囲の警備、農業の生産管理など多くの分野で人手不足をカバーできます。落ちたときの保険には、グループの金融機能を使うといったように幅広く対応できます。今いる社員やグループ企業などの能力や強みを生かせると考えるのです」。
――企業にとってマーケティングの意味は何でしょう。
「世の中に働きかけるのに一番いいのがマーケティングだと思います。営業部門だけでなく、経営にも関わって会社のあり方や方向を変えられるのがマーケティングだからです。私がアドビシステムズにいた当時、CMO(最高マーケティング責任者)のアン・ルネス氏は『会社がなぜそこを目指すのか、理念をどう世界に浸透させるのか』という課題に取り組んでいました。世界一のマーケティングカンパニーといえるアドビで、マーケティングの可能性に気づきました」