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ついに完成! お店に負けないパラッパラのチャーハン

男のチャーハン道(4)

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NIKKEI STYLE

日本経済新聞出版社の新書、日経プレミアシリーズ『男のチャーハン道』からの最終回。脱ダメ人間をめざしてチャーハン作りに取り組んだ著者。ついに、レシピが完成。その最後の奮闘ぶりは……。

◇  ◇  ◇

さあ、完成版レシピだ。お店に負けないパラッパラぶりを楽しんでほしい。

【調理道具】

直径33センチ、厚さ1.6ミリの広東鍋(鉄製の中華鍋は必ず使ってほしい)

中華ヘラ

中華おたま

【材料(1人分)】

ご飯(炊きたてではなく、保温しておいたもの) 230グラム

黄身 2個分

白ネギ 20グラム

太白ごま油 大さじ1

塩 2.4グラム(小さじ2分の1)

【作り方】

(1)黄身を溶き、バットなど浅い容器に入れておく。

(2)ネギを粗みじん切りにする。

(3)ご飯をバットに広げ、ラップはせず電子レンジに1分40秒かける。

(4)中華鍋に太白ごま油を入れて最大火力にかける。油がサラサラになったら、中華ヘラで直径30センチぐらいの範囲に広げる。

(5)鍋の火の当たっている部分が350度になったら(火をつけて1分30秒程度が目安)、(1)の半量を投入する。

(6)2秒後にご飯を投入する。

(7)右手に中華ヘラ、左手に中華おたまをもち、混ぜる、広げる、押しつける、裏返す作業をくり返す。

(8)1分30秒ほどたったら残りの黄身を入れる。

(9)卵がよく混ざったら塩を加え、さらに混ぜる。

(10)1分20秒(スタートからは2分50秒)たったら、ネギを投入。中華ヘラで全体となじませ、すぐ火を止める。

なお盛りつける皿だが、平皿よりも、深いお皿のほうがいい。チャーハンの温度が下がりにくく、アツアツの状態を維持できるからだ。『男のパスタ道』でも同じ理由でシリアルボウルをおすすめしたのだが、チャーハンもシリアルボウルに盛るのがベストだと思う。

さて、レシピは完成した。これは非常にシンプルでプレーンなチャーハンだ。最後に、ここまで得た知見を生かして、少し彩りをつけてみたい。

もしこのチャーハンを物足りないと思うことがあるとしたら、まずはコクだろう。その主因は、癖のない太白ごま油を使ったことだ。

ラードを使えばコクが出ることはわかっている。ただ、あまりにすべてをラード色に染めてしまうので、米や卵の微妙な味がわかりにくくなるし、その匂いやコクは、私には少し強すぎる。なにより胃にもたれる。

そこで、すべてをラード色に塗りつぶさず、なおかつ胃の負担も減らせるよう、ラードの量を減らしてみることにした。

とはいえ、油の量自体を減らすわけにはいかない。最低ラインとして15ミリリットルの油は必要だからだ。そこで、別の油とラードをブレンドして15ミリリットルにしてみた。

まずは太白ごま油とのブレンドだ。ラードと太白ごま油を1対1で混ぜて15ミリリットルにし、試してみる。これで十分にラードの風味は出るし、コクも感じる。もう少し減らせるかもしれない。

そこで2対1の割合にしてみる。太白ごま油小さじ2(10ミリリットル)、ラード小さじ1(5ミリリットル)だが、これでも十分に風味とコクがあり、なおかつクドさはなく、消化器に負担がかかることもない。心地よく食べられる。ラードの割合はこのぐらいがちょうどよさそうだ。

さらに実験を続ける。今度は太白ごま油ではなく、ピーナッツ油とブレンドしてみた。ピーナッツ油小さじ2、ラード小さじ1で試してみると、すごくいい。ピーナッツ油ならではの香ばしさに、ラードの風味とコクが加わり、非常に深みのある味となった。

太白ごま油とのブレンドも悪くなかったが、こちらは独特の香りのよさがある。太白ごま油のように品良く控えている感じではなく、押し出しが強い味なので、誰かを強引に「おいしい!」といわせたいとき、私ならピーナッツ油とラードのブレンドを使うだろう。訴求力のある風味なのだ。

このブレンドオイルは、ぜひレシピにも取り入れたい。使うラードはサツマイモ育ちの黒豚のバラ肉を炒めて取り出した自家製にしよう。

油にここまでこだわるなら、ご飯の品種にもこだわってみよう。せっかくなので、ジャポニカ米とインディカ米のハーフであるプリンセスサリーを選んだ。これを使うと、気持ちいいほどパラパラになる。しかも、香りがよく、味も濃い。

実は、日経プレミアシリーズ『ロジカルな田んぼ』の著者・松下明弘さん、その盟友というべき静岡市「安東米店」の長坂潔曉さんからもアドバイスをいただきながら、「チャーハン好適米」の研究を進めていた。

コシヒカリ系の粘った品種では、チャーハンが作りにくい。そこで、パラパラにしやすい品種を探そうという試みだ。

さまざまな発見があった。あさひの夢、ハツシモといった、在来種「旭」の子孫たちで作ると、パラパラかつおいしいチャーハンに仕上がること。にこまる(九州など温暖な地方のブランド米)で作ると、パラパラでもしっとりでもない、「むっちりチャーハン」としか表現できない新食感が生まれること……。

そうしたなか、私がもっとも「チャーハン好適米」として認めた品種がプリンセスサリーなのだ。

卵も、飼料にこだわった高級卵を選びたい。私の場合はもちろん我が家で飼っている烏骨鶏卵だ。黄身は13~14グラム程度なので、3個分を使うとちょうどよい。

こうなると、塩も同じゲランド産でも、より高級なものを使いたくなる。「塩の花」と呼ばれる、最初に結晶化した「一番塩」はどうかと考えた。しかし、これは純度が高くまろやかで、素材の味を生かす塩だ。より強い旨味でアピールしたいなら、やっぱり普通のゲランドの細粒塩のほうがいい。

ここに金華火腿を加えれば、さらにおいしくなる。

食材をグレードアップしただけで、作り方自体は、さきほどのレシピと同じである。

これがチャーハンをめぐる探検で得た知見を総動員した一皿といえるだろう。手間とお金はかかるが、ぜひ一度、試してみてほしい。

最終レシピまで書き上げたところで、あらためて『美味しんぼ』の「直火の威力」を読み直していたら、あることに気づいた。いや、さまざまな実験をくり返してきたからこそ、小さなコマに目がとまったのだろう。

まだ「気弱なダメ人間」の調理シーンをよく見ると、まずご飯と具を投入し、炒めている途中で卵を直接、鍋肌に割り入れているのだ。

白身の水分はご飯をベトつかせ、鍋肌にこびりきやすい。だから黄身と混ぜて使うべきだということは、見てきた。しかも実験検討してきたように、ご飯を炒めてから卵を投入する方式は、混ぜにくいためにムラが出て、飯粒同士がくっついてしまうことがある。独特のもっちり感だって出てしまう。

白身をそのままの形で投入する。ご飯を炒めたあとで卵を投入する。禁じ手をふたつもやってしまっているのである。火力の強い業務用コンロを使ったとしても、これではパラパラに仕上がらないだろう。これこそ「ベタベタして食べられた物じゃない」いう事態にいたった原因ではないのか?

少なくとも漫画のなかで、これは指摘されていない。ひょっとすると、すごいことを発見してしまったのか?もし私が相談されたら、また違ったアドバイスをしてあげられる気がする。

べつに私は強力な炎を御しきったわけではない。鍋を激しくあおって、飯粒を直火であぶることもしていない。『美味しんぼ』からは「炎の主人になり切っていないんだ!」と叱られたが、結局、「炎の主人」にはなれなかったのだ。3年間も試行錯誤してきたのに、たいへん残念なことである。

ただ、「鍋の中でイジイジかき回しているだけじゃ、本当のチャーハンはできないんだよ!」という叱責に対しては、「いや、イジイジかき回していたけれど、パラパラチャーハンできちゃいましたよ」と答えよう。

そう、脱ダメ人間をめざしてチャーハン作りに取り組んだはずが、ダメ人間のままでもパラパラチャーハンが作れたのだ。むしろそのことに胸を張りたい。

(この項おわり)

土屋 敦 著 『男のチャーハン道』(日本経済新聞出版社、2018年)第6章「パラパラの邪魔をするのは誰だ」、エピローグ「イジイジでもパラパラ」から
土屋 敦(つちや あつし)
ライター 
1969年東京都生まれ。慶応大学経済学部卒業。出版社で週刊誌編集ののち寿退社。京都での主夫生活を経て、中米各国に滞在、ホンジュラスで災害支援NGOを立ち上げる。その後佐渡島で半農生活を送りつつ、情報サイト・オールアバウトの「男の料理」ガイドを務め、雑誌等で書評の執筆を開始。現在は山梨に暮らしながら執筆活動を行うほか、小中学生の教育にも携わる。著書に『なんたって豚の角煮』『男のパスタ道』『男のハンバーグ道』『家飲みを極める』などがある

男のチャーハン道 (日経プレミアシリーズ)

著者 : 土屋 敦
出版 : 日本経済新聞出版社
価格 : 918円 (税込み)

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