マネー研究所

プロのポートフォリオ

運用のプロ 重要なのは未来を想像する力(苦瓜達郎) 大和住銀投信投資顧問シニア・ファンドマネージャー

2018/7/10

写真はイメージ=123RF
「プロの運用者は個人投資家と違い、得意な銘柄だけに投資すればいいというわけにはいかない」

前回は個人投資家と機関投資家の立場の違いについてお話しました。投資対象を得意な銘柄に絞り、長期にわたって観察や考察を続けていれば、その部分だけに関してはアマチュアでもプロに勝つことができる、というのは私の偽らざる本音です。

一方、プロの運用者は得意な銘柄だけに投資すればいいというわけにはいきません。むしろ、個人的には全く関心のない銘柄に投資しなければいけなかったりします。今回はプロがどのような心構えで投資対象に向き合うべきか、ということについて述べたいと思います。

■プロは見たこともない対象に投資する

前回も書いたように、機関投資家のもとにはとても処理しきれない量の情報がアナリストやエコノミストらによって提供されます。実際には私たちが見たことも触れたこともない世界の森羅万象について、事実と彼らの推測や予想を織り交ぜつつ、特定の投資対象に対する売買の判断につながる形でまとめられた文章を日常的に目にしています。

従って、実は全く分かっていないことも何となく理解した気になって、自分の生涯年収の数百倍にあたる金額の投資対象を売ったり買ったりすることがしばしば起こっています。そのことを残念に思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、そもそも世界に存在する無数の物事に関して、人間が「本当に理解する」なんてことが可能でしょうか? 自分が実際に見たり、触ったりしている物事ですら、それがなぜそういう形なのか、なぜそこに存在しているのか、ちゃんと理解していることはまれでしょう。

私たちプロの運用者は見たことも触れたこともない、数多くの物事によって価値を決められている資産に投資を行うことが仕事です。しかも、そこでより重要なのは観察可能な現在ではなく、「誰も見たことのない未来」を想像することができるかです。それこそがプロに必要な資質といってもいいでしょう。

■深く理解しない銘柄を外すのは正しくない

それゆえ、私たちはどこかで妥協点を見つけなければいけません。私の考えではプロに求められるのは、おのおのの思考パターンは異なるでしょうが、あくまでも自分の知的能力が及ぶ範囲で、中長期で有益な投資判断を導き出すことです。

大事なのは考え続けることで、投資実行後もあくなき探究心で「ああでもない、こうでもない」と有益な投資判断を常に追い求める必要があります。テーマ投資でもない限り、「深くは理解していない」と感じる銘柄を投資対象から外すのは正しくないと思います。

マネー研究所 新着記事

ALL CHANNEL