洗口液が若者浸透、壁材が水切りに 上期ヒット日用品
日経トレンディは2018年上半期ヒット商品とともに、下半期にブレイクすると予測したものを徹底調査した。食品業界編(記事「ちょっとだけでも大ヒット 18年上半期トレンド食品」)、飲料業界編「ペットボトル飲料 主役はちび飲みコーヒーと強炭酸」に続いて日用品編を紹介しよう。
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歯周病などに悩む40代以上が購買層の中心だった洗口液(マウスウォッシュ)が、若者に広がり始めた。火を付けたのは、2017年8月に発売された「NONIO」(ライオン)。テレビCMでは、口臭を抑制するという機能を、効果や成分ではなく、友人同士や仕事場での会話シーンや、「口を開けば、心が近づく。」というメッセージを通じてアピール。購入者の3割が39歳以下、販売個数は計画比70%増という大ヒットとなった。
18年3月には、ジョンソン・エンド・ジョンソンが「リステリン ホワイトニング」を発売。歯の美白という新たな機能で、こちらも20~30代に高い評価を受けているという。
オーラルケア分野では更なる新提案が出てきた。花王が4月に発売した「薬用ピュオーラ 泡で出てくるハミガキ」は、容器を押すとハミガキが泡状になって出てくるこれまでにない商品。舌に直接載せることで、口臭を防ぐ効果があるとうたう。実勢価格は1000円を超えるものの出足は好調で、今後の定着に期待がかかる。
雑貨では、意外な「変身」が大ブレイクを生んだ。「エコカラット」(マーナ)がそれ。水分を吸収する素材を使ったボトルの乾燥スティックや水切りトレーなど6アイテムが飛ぶように売れ、「発売3週間で欠品状態になった」(ロフト)。
例えばボトル乾燥スティックは、通常7時間かかるボトル内部の乾燥を、僅か3時間に短縮。時短につながるとして人気だ。実はこの素材を開発したのは、建材メーカー大手のリクシル。機能性壁材として使われていた多孔質セラミックスが、あっと驚く大変身を遂げて売れに売れている。
もう一つの意外な変身が「ナイトミン鼻呼吸テープ」(小林製薬)。口を開きにくくするだけの粘着テープが、安眠を訴求したことで、1年間で5億6000万円も売り上げた。就寝中に付けると口呼吸が抑制され、いびきや口・喉の乾燥を防げるとうたい、眠りの浅さに悩むシニア層が飛び付いた。
パッケージを変えただけで売れ行きが一気に2倍になったのが、「コックローチ脱皮缶」(大日本除虫菊)。殺虫剤は効果をアピールするために、パッケージに虫のイラストが入っている。しかしそれを不快に感じる人も多い。パッケージを剥がせるようにしたところ、女性などから支持を集めた。
次ページでも上半期にヒットした商品と今後ブレイクしそうな商品を紹介する。
吹き付けるだけで手間いらず
新たに立ち上げたブランドながら、年間販売目標だった60万個を、僅か3カ月で売り切ってしまったのが「洗浄力 モコ泡わ トイレクリーナー」(エステー)。ブラシでこすらずにトイレ掃除ができる商品はこれまでもあったが、泡状のものは初めて。泡が広がることで、洗浄力の高さをわかりやすく視覚的に伝えた。
超巨大枕で寝返りOK
横幅がベッドと同じで、縦の長さが背中まである常識外れのサイズの枕がヒット。取り扱う通販サイト「ショップジャパン」では一時、欠品状態になった。頭や首だけでなく肩や背中、両肘までの7カ所を包み込み、寝返りを打っても大丈夫。体圧を分散し、睡眠の質を高めるといううたい文句が、少しでも疲れを取りたい現代人に響いた。
ブレイク候補:事前に下ごしらえして帰宅後スピード調理
ジッパー付きバッグの中に食材と調味料を入れるだけ。電子レンジで加熱すると、食材から出る蒸気でバッグが膨らんで圧力調理ができる究極の時短アイテムが出足好調だ。事前に準備して冷凍保存しておき、食べる直前に加熱する。5枚で税別298円と決して安くはないが、共働き世帯に売れそう。
ブレイク候補:スペースそのまま。購入頻度を減らせる
1個当たりの長さを従来の1.5~3倍に伸ばした長尺トイレットペーパー。今年は、大手の王子ネピアや日本製紙クレシアも相次いでアイテムを拡充する。消費者にとっては、購入や取り換えの頻度を減らせるのがメリット。メーカーは輸送コストを、店舗は在庫の保管スペースを削減できる、"三方良し"で広がりそうだ。
ブレイク候補: 持ち歩きたくなる奇抜なデザイン
ラジカセ、ショッピングバッグに赤ちゃん。奇抜なパッケージのトイレットペーパーが、マツモトキヨシのPBとして4月から順次発売されている。「トイレットペーパーを持ち帰るのがちょっと気恥ずかしい」という消費者意識からの着想という。ドイツの「iFデザインアワード」を受賞するなど、話題性は十分だ。
(日経トレンディ編集部)
[日経トレンディ 2018年7月号の記事を再構成]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
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