著者は自身で手がける中小企業投資を通じて、そうした課題を抱える企業の多さを実感し、その多くが後継者問題に悩んでいることを憂慮する。大企業の中で普通にビジネスをこなしてきたサラリーマンを、この中小企業経営というフィールドにうまくマッチングさせれば、中小企業の事業承継問題とサラリーマンの老後への不安とを同時に解決できるのではないか。そう考えるわけだ。「単行本では目立った売れ筋がない中、この新書は抜群の売れ行き」とビジネス書を担当する西山崇之さんは話す。
新書も老後や働き方が売れ筋
それでは、先週のベスト5を見ておこう。今回は取り上げた本に合わせて新書のベスト5を紹介する。
(1)サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい | 三戸政和著(講談社+α新書) |
(2)未来の年表 2 | 河合雅司著(講談社現代新書) |
(3)「女性活躍」に翻弄される人びと | 奥田祥子著(光文社新書) |
(4)なぜ、御社は若手が辞めるのか | 山本寛著(日経プレミアシリーズ) |
(5)朝日ぎらい | 橘玲著(朝日新書) |
(紀伊国屋書店大手町ビル店、2018年6月25日~7月1日)
取り上げた本が1位にランクインする。2位は少子高齢化や人口減少が人々の暮らしにどのような形で降りかかってくるかを明らかにした本。第1弾ほどの勢いではないが、どの書店でもよく売れていて、1位とあわせてサラリーマンの老後への不安を象徴する。3位はジャーナリストによる「女性活躍」の現場ルポ。正規、非正規を含む働く女性たちから主婦、男性の会社員まで細かく実際の現場に光を当てている。4位は、会社を辞める若手の本音に迫りながら社員を定着させるための職場づくりを考察した内容だ。5位には、鋭い社会評論で人気の作家による、日本のリベラルの新しい姿を探った本が入った。
(水柿武志)