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楽天大学学長と仲山考材代表取締役を兼任する仲山進也氏

楽天大学学長と仲山考材代表取締役を兼任する仲山進也氏

楽天の正社員でありながら、この10年ほど兼業可、出勤の義務もない自由な働き方を、仲山進也・楽天大学学長は実践してきた。最近は副業や自宅などでの勤務を認める企業が増え、仲山氏のように自由に働くにはどうすればよいか、と聞かれることもしばしばだという。人生100年時代をにらみ、これからの働き方はどうあるべきか、予防医学研究者の石川善樹氏と論じ合った。(前回の記事は「『レール外れた』楽天マン 楽しく価値生む働き方とは」)

「組織」の前に「個人」で仕事をする

石川 仲山さんはいろんな立場でお仕事をされていますが、実は「お仕事は何ですか」と聞かれるのが怖いんだとか。

仲山 ひと言で答えられないんです。所属や肩書だけでは伝えられないし、職種も既存の分類にあてはまらないので、ぼくのことをまったく知らない人への自己紹介はいつも悩みます。だから社交の場が恐怖なので、なるべく近づかないようにしています(笑)。

石川 自己紹介をするということは、「自分が何者でもない」という証拠でもあります。誰もが自分のことを知っていれば、わざわざ自己紹介をする必要はないからです。ただ、そんな有名人は一握りで、ほとんどの人は自分のことを理解してもらうために、所属や肩書を言いたくなります。仲山さんの新刊「組織にいながら、自由に働く。」(日本能率協会マネジメントセンター)に、メールで「楽天の仲山です」と名乗るのをやめて、「仲山です」だけにしてみたという話がありましたよね。あれが面白いなと思って。

仲山 「会社にぶら下がって、社名で仕事をするのはイケてない」と、ある本で読んで「たしかに」と思ったので、やってみたんです。お客さんである楽天の店舗向けに会社名を名乗らずにメールをすると、最初はえも言われぬ不安な気分でしたが、だんだん慣れました。慣れると、「組織」の前に「個人」として仕事をしている感覚が生まれ、強まっていく感じがします。

石川 仕事には「what=何をしているか」「how=どのように、スキル」「why=何のために」の3つの要素があると思います。「お仕事は何ですか」と聞かれたとき、普通はwhatを答えますよね。でも本当はwhyを答えないと、その人の価値観や大切にしていること、原動力といった内面の真実は伝わらない。ただ、多くの人は自分のwhyが何か、自覚しないまま働いているように思います。だから、働く目的が「会社のため」になり、所属や肩書に頼ってしまう。

仲山 思うんですけど、すっごくわかりにくいメールを送ってくる人には共通点があって、だいたい「組織名」だけで名乗ってるんですよ。「お世話になっております、◯◯株式会社◯◯部です」みたいな。完全に組織の仮面をかぶって、自分を消し去っている感じ。そして「こうしてください」とwhatだけを伝えてくるから、意図(why)がわからないんです。

楽天大学
 2000年に仲山氏が中心となって立ち上げた、楽天市場に出店する店舗向けの教育事業の名称。楽天内の組織で、学校法人ではない。主にオンライン講座を通じて、電子商取引(EC)のほか、チームづくりや理念づくりまで幅広く店舗を支援する。

仲山考材
 2008年に仲山氏が設立した株式会社。EC経営者や運営者など主に中小企業向けに、オンラインで電子商取引やチームづくりなどを学ぶ講座などを運営。考えるための素材(考材)やきっかけを提供して、人やチームの成長を応援(Empowerment)する。楽天との資本関係はない。

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