マネー研究所

転ばぬ先の不動産学

中古マンション 「修繕積立金は潤沢」には裏がある 不動産コンサルタント 田中歩

2018/7/11

写真はイメージ=PIXTA

 中古マンションの取引の現場で、修繕積立金に関する説明が間違っていたり十分でなかったりすることがあります。こうしたことが原因で、これから中古マンションを購入しようという人が修繕積立金について誤解してしまうことがあります。今回のコラムでは、不動産業者から修繕積立金について説明を受ける際などにチェックしたい点を解説します。

■セールストークにはなんの根拠もない

 中古マンションのセールスの現場で不動産業者が「修繕積立金がたくさんありますから安心です」と説明している姿をよく見かけます。売買契約の直前に行われる重要事項説明でも修繕積立金の総額についての説明がありますが、このときも具体的な根拠を示さずに同じようなセールストークが発せられることが多いのです。

 確かに修繕積立金が多いほうが安心感はあるような気がしますが、果たして本当なのでしょうか? ちょっと考えればわかると思いますが、安心かどうかは修繕積立金の総額の多寡では判断できないのです。そのマンションの規模とこれまでの修繕実績によって判断が変わってくるからです。

 例えば、規模の大きなマンションで何年間も大規模修繕を実施していなければ一定の修繕積立金が蓄積されていて当然です。一方、最近、大規模修繕をしたのであれば修繕積立金の総額は少ないはずです。

 つまり、修繕積立金の総額の多寡だけで「安心だ」とするセールストークにはなんの根拠もないのです。

 なお、修繕積立金の額が適正なのかどうかの目安については、2018年2月7日に掲載した「マンションの修繕積立金 適正水準と今後の上昇幅は?」を参照していただければと思います。

■購入対象の部屋に滞納がなければ大丈夫?

 売買対象となる部屋に管理費や修繕積立金の滞納がある場合、マンション管理組合がその所有者に対して滞納金を支払うよう請求するのは当然です。ただ、この所有者がマンションを売った場合、所有者(売り主)に対してだけでなく、新たな所有者(買い主)にも請求できることになっています。

 このため、売買対象に滞納金がある物件は売り主が滞納金を完済したうえで取引できるよう、どんな不動産業者でも管理組合と交渉しながら慎重に取引します。問題なのは別の部屋の管理費や修繕積立金の滞納です。

マネー研究所新着記事

ALL CHANNEL