機能、快適、軽快 2019年春夏のジャケットを先取り
イタリアの古都フィレンツェで年2回開催されている世界最大級のメンズファッション見本市「ピッティ・イマージネ・ウオモ」。2019年春夏の新作が披露された6月の会場には、日本でも注目されるイタリアの人気ブランドの新作がずらりと並んだ。ラルディーニ、アルテアのデザイナーやクリエーティブディレクターに、それぞれの狙いを聞いた。
■ラルディーニ
創業から40周年のラルディーニ。19年春夏コレクションのテーマは「コートダジュール」だ。そこから導き出されるスタイルはリゾートカジュアル。「自由で軽やか、かつエレガントな雰囲気を醸し出すよう心がけた」とクリエーティブディレクターのルイジ・ラルディーニ氏は作品に込めた狙いを語る。
アイコンカラーは白とブルー。そこに差し色として黄色やオレンジをかませた装いの提案が全般に目立つ。ストライプや格子柄をアシンメトリーにしたのも「優しさの演出」という。
最近のトレンドである多少ゆったりめのフォルムを踏襲。その狙いについて、「着る人に快適な着心地を実現するため」と説明した。スポーツカジュアル人気にも対応し、スポーティーラインである「イージーウェア」シリーズも一段と強化。はっ水性や通気性に優れ、シワになりにくい機能性素材を採用したカラフルなアイテムなどが来場者の目をひいていた。
一方、クラシコラインといえる「サルトリア」シリーズでは、英国調のクラシックなテーストを堅持。ブラウンを基調にしたスーツ類などが多かった。
■タリアトーレ
基調となる色はベージュやブラウン、ボルドーやグリーンなど。タリアトーレといえば、両脇からウエストを絞ったタイトで立体的なフォルムのジャケットが特徴だが、今回もそのシルエットは健在だ。なぜなら「着る人の体のラインに合わせ、フィット感が何より大切だから」。ブランド&クリエーティブディレクター、ピノ・レラリオ氏がそう考えるからに他ならない。
軽やかな着心地は最近のトレンドだが、タリアトーレも「マーケットのニーズにしっかりと対応」する。レラリオ氏が実際、手にとって説明してくれたのはシルク50%、リネン50%の素材で編み目が大きめのジャケット。向こうが透けて見え、軽くソフトで清涼感が漂う。
日本では未発売ながら18年秋冬コレクションに初めて靴を投入したタリアトーレ。19年春夏ものでもレザーのジャケットなどを発表した。春夏にレザーアイテムとは、やや気が引けそうだが、そこは気候的に日本と異なるイタリアならではかもしれない。「単なるジャケットブランドではなく、トータルブランドを目指す上での一環」とラインアップの充実についてレラリオ氏は説明した。
■アルテア
元はネクタイやスカーフが主力だったが、今やメンズ、レディースのトータルブランドに発展したアルテア。パンツ、ジャケット、ニット、Tシャツ、シャツと5つのカテゴリーで各28色を展開する。
「色へのこだわりとリサーチの深さはどこにも負けない」と胸を張るのはメンズデザイナーのミケーレ・サルトリ氏だ。昔ながらの木製の織り機を使ったオンリーワンの上質な製品づくりは今回も何ら変わらない。
19年春夏コレクションの特徴を問うと、「軽さとプリント柄」という答えがサルトリ氏から返ってきた。「(流行色の)ブルー系やカボチャ色を用いたり、コットンとリネンを混ぜた素材で、編み方に立体感を持たせ、軽さを意識した」。キャンディーの包み紙をイメージした柄などもある。
スタイルの基本が「コンフォート(快適性)」なのはアルテアも同じ。「着る人の体のラインを保ちつつ、どれもゆったり感を持たせた仕上がりになっている」とサルトリ氏は話していた。
(堀威彦)
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