数々の高級ブランドを擁するファッション大国フランス。日本との関係も深く、2018年は日仏修好160周年にあたる。17年に着任、節目の年に駐日フランス大使を務めるローラン・ピック氏は、首相官房外交顧問、外務・国際開発大臣官房長を歴任するなど、豊富なキャリアを持つ外交官だ。母国を代表し、最も高い格式と、最も厳しいプロトコル(儀礼)が求められる外交の最前線に立つピック氏に、装いについて聞いた。
――装いについて何かこだわりをお持ちですか。
「着心地の良いものを選ぶようにしています。どちらかというと色彩的にはダークなものが好きです。ネクタイも比較的単色系に近いものが好きですね。一日の執務時間がかなり長いですし、いろいろな方にお会いするので、自分らしく、自然である服装を心がけています」
■着ていることを忘れさせる着心地のよさ
「着心地の良さはとても重要な要素です。着心地が悪いと、それだけで一日の気分を害してしまいます。着心地の良さというのは一日身につけていて、その洋服のことを忘れられるということだと思います」
――お気に入りのブランドはありますか。
「高田賢三さんのものが好きで、ずっと着ていました。私はどちらかというと細身ですから、(ケンゾーに出合うまで)なかなかぴったりくるサイズがなかったのです。もちろん、ケンゾーの作品が好きだったということもあります」
「ケンゾーブランドはいま高田賢三さんがデザインしているわけではありません。ご自身がデザインしていたころは、フランスのファッションのエッセンスを取り入れながら、どこか日本的なものがありました。それも気に入っていた理由ではないかと思います」