長谷部主将が理想 転職「お墨付き人材」4つの条件
経営者JP社長 井上和幸
W杯ロシア大会で日本代表を支えたキャプテンの長谷部選手(左)。右は西野監督
40代・50代の転職市場が活況です。とはいえ、新卒や第二新卒から中堅世代までのように、ポテンシャルが買われて「しっかりした人なら、誰でも」といった甘い状況ではありません。そんな中で、「40代・50代のあなたにこそ、ぜひ我が社に来てほしい」と言われる人たちがいます。彼らは何が違うのでしょうか。実はサッカー日本代表の長谷部誠主将のような共通点が4つあるのです。
「妥協ミドル」と「お墨付きミドル」の二極化
リクルートキャリアの調査によると、2017年度の50歳以上の転職決定数は09年度の1.83倍になっています。一方で、同じ期間の全世代の伸びは2.64倍なので、50歳以上の増加率はその7割程度にとどまっています。人手不足が進んで採用市場が過熱し、なかなか理想の人材が確保できないため、「(本来はもう少し若い世代のほうがよいが)まあ、40代・50代でも仕方ないか」という「妥協ミドル人材」の採用も少なくないのが実際のところです。
しかし、「40代・50代のあなたにこそ、ぜひ我が社に来てほしい」と言われる人たちも増加傾向にあります。私はこの世代を中心に企業の管理職・経営幹部の採用、転職を支援していますが、こうした「お墨付きミドル人材」には4つの共通項があることを、該当する方々の考え方や行動、その結果から認識しています。
「お墨付きミドル人材」の共通項の1つ目は、
です。自分が職務において具体的に何ができる人で、何をやりたいのかを、はっきりと認識している人です。
「何を当たり前のことを」と思われるかもしれません。しかし、実際にキャリア面談や転職面接の場において、「仕事上で何ができて、何をやりたいのか」を「本当の意味で」明快に述べられる人は、意外に限られた人たちだけです。よしんば「何ができるか」についてはこれまでの職務経験から説明できたとしても、あまり気乗りする仕事ではなかったからなのか、いまひとつ歯切れが悪いのです。
大企業育ちは、驚くくらい意思が不明確
さらに問題なのが、「何をやりたいのか」で、特に大手企業育ちの幹部層の方々は、驚くくらい「自分がどうしたいか」が不明確です。これは新卒入社以来、配属・異動・昇進が全て社命によるものだったためで、源泉徴収される税金・保険料に無自覚なのと同じくらい、自分のキャリアについても会社一任で、そこに自ら積極的に関与してこなかったことが大きいでしょう。