軽度の認知障害と診断 将来の認知症は避けられる?
この記事では、今知っておきたい健康や医療の知識をQ&A形式で紹介します。ぜひ今日からのセルフケアにお役立てください!
(1)ホント
(2)ウソ
正解は、(2)ウソです。必ずしも認知症に進むわけではありません。
2~3割の人が健常な状態へ戻るという報告も
軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:MCI)とは、認知症になる一歩前の状態であり、現在、推計で約400万人いるといわれています。この段階で適切な対処を行えば認知症になるのを大幅に遅らせることも可能です。
「『最近、もの忘れが多くなった』『頭がうまく働かない』など、本人や家族などが気付き、認知症かもしれないと不安を感じているが、日常生活は自立して送ることができるような場合、軽度認知障害が疑われます」と話すのは、メモリークリニックお茶の水院長の朝田隆さんです。
認知機能には記憶力のほかにも、注意力や方向感覚、推察する力などがありますが、軽度認知障害は、記憶力には多少の衰えがあるものの、注意力や方向感覚には問題がなく、日常生活を自立して送ることができる状態を指します。例えば、もの忘れによる騒ぎや探しものはしばしばあっても、方向感覚が悪くなり迷子になるようなトラブルはないという段階が、軽度認知障害なのです。
「認知症になると、脳が萎縮することが多いのですが、軽度認知障害では普通は萎縮がありません。ただし、SPECT検査といって脳の血流量を調べる検査をしてみると、脳の一部で血流量が低下していることがあります」と朝田さん。つまりその部分の認知機能が低下して、それが原因で軽度の認知障害が起こっていると考えられます。
軽度認知障害を放っておくと4年で約半数が認知症に進むといわれていますが、一方で、2~3割の人が健常な状態へ戻るという研究報告もあります。また、認知症に進むとしても、通常、軽度認知障害の状態が何年か続いたあとです。「急速に認知症に進んでしまうのでは」などと過度に心配しないようにしましょう。
(日経Gooday編集部)
[日経Gooday2018年6月25日付記事を再構成]
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