夫婦で住宅ローン 借入増額も配偶者の収入減がリスク産育休など 団信の適用範囲にも注意

 収入減だけに気をつければいいの?

幸子 夫婦のうちの一方が返済中に死亡した場合への備えも大切よ。通常、住宅ローンを借りる時は団体信用生命保険(団信)に加入するのが原則で、万一のときには保険金でローンは完済されるけど、3つある借り方によって万一の際、ローンがどうなるかはそれぞれ異なるの。連帯債務や連帯保証で、夫が主債務者、妻が連帯債務者や連帯保証人だった場合、夫の死亡時は団信で残債はゼロになるけど、妻の死亡時は残債は減らない例が多いわ。連帯債務のローンでは追加の費用を払えば夫婦2人いずれの死亡時でも残債がゼロになる「連生」と呼ぶ団信を扱う金融機関もあるけど、まだ一部ね。

良男 ペアローンは?

幸子 ペアローンの場合、ローンは2本あってそれぞれ団信に加入するから、夫婦いずれかの死亡時に1本はゼロになるけど、もう1本は手つかずで残ることなるわ。共働き世帯の場合、片方の収入がなくなるとローン以外の教育費や生活費などの出費もすべて1人で賄うことになる例も多いから、ローンのうち1本がなくなるだけでは安心といえない世帯もあるの。

 どうすればいいの?

幸子 夫婦でローンを組むのを機に生命保険などを見直すのがひとつの手よ。基本的に2人とも死亡保障は必要になるけど、特に夫婦のうち団信でカバーされない側はローン残債を払えるように保障額をより手厚くするほうが無難ね。

■離婚リスクも目を向けて
ファイナンシャルプランナー 竹下さくらさん
夫婦で住宅ローンを借りることを検討する世帯に私はまず、夫婦双方が現在の収入を維持できるかを確認をします。特に女性は出産後、離職を余儀なくされるケースがまだありますし、辞めずに済んでも保育園探しが難航して復職時期が遅れるといったリスクもあります。こうした収入減があっても家計がもちこたえられるか、検証が欠かせません。
あまり考えたくないことですが、離婚のリスクも認識しておく必要があります。一般に夫婦関係が破綻しても、それぞれのローンに対する連帯債務や連帯保証の関係は続きますから、簡単には解決できないトラブルになる例は少なくありません。借入額が増やせることや住宅ローン減税など目先のメリットだけにつられず、様々なリスクにも目を向けてローンの借り方を考えてください。
(聞き手は堀大介)

[日本経済新聞夕刊2018年7月4日付]

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