帽子はもっとおしゃれだった 100年前の民族衣装
梅雨が明けた地域では暑さが続き、日傘や帽子が欠かせない毎日だ。でも、日よけだけが帽子の使われ方ではない。帽子が、かぶる人の地位を示すこともあれば、厳しい天候の中で生活するための必需品でもあり、時にはものを運ぶ道具に使われることもあった。今回は、ナショナル ジオグラフィックのアーカイブに残る100年前の写真から、今以上に世界各地の文化に根付いた帽子と、それをかぶる人々の姿を紹介しよう。
人間の帽子へのこだわりの歴史は数千年前に遡る。エジプト、テーベの墓所で見つかった最古の帽子の絵には、円錐形の麦わら帽をかぶった人々が描かれている。また5300年前の男性のミイラ「アイスマン(愛称エッツィ)」は、衣服のほか、あご紐が付いた熊の毛皮の帽子をかぶった状態で見つかっている。
実用面での帽子の役割としては、防寒、物入れ、日よけ、風よけなどさまざまなものがある。また王族の結婚式に出席する女性が正式なドレスコードの一環として着用が求められるなど、ファッションを通じた立場の表明という役割も見逃せない。
しかし、帽子のもっとも大きな役割は文化的なものだ。帽子は特定の文化やコミュニティとの絆として機能する。
たとえばボリビア先住民の女性たちの伝統衣装は山高帽とレイヤードスカートだが、かつてはその特徴的な服装が、差別のターゲットとされる原因にもなっていた。現代の若い世代は、この伝統衣装を誇りを持って身に着けており、彼女たちの着こなしはファッションの流行にも影響を与えるようになっている。
次ページ以降で紹介する写真を見れば、文化における帽子の重要性を実感いただけるのではないか。
(文 HEATHER BRADY、訳 北村京子、日経ナショナル ジオグラフィック社)
[ナショナル ジオグラフィック 2018年6月20日付記事を再構成]
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