汗・臭い対策に高機能の綿 猛暑乗り切る夏ワイシャツ
夏の高機能シャツ、選び方と着こなし方(上)
関東甲信越地方が6月に梅雨明けとなった2018年。日本気象協会によると7月、8月も平年より気温が高い日が多い見込みだという。猛暑になるなら、なるべく涼しい服装で過ごしたい。特にビジネスパーソンが毎日のように着るワイシャツは、夏用をうたうものが次々と店頭に登場している。
多様化する夏用ワイシャツ
2005年からはじまった「クールビズ」の広がりとともに、夏用ワイシャツは毎年進化を遂げている。クールビズは世代を問わず浸透しており、青山商事によれば「年々スタイルが多様化している」。そんなクールビズの普及とともに広がっていったのが、高機能シャツだ。ノーアイロンシャツの先駆けとして09年4月に発売されたはるやま商事の「i-shirt(アイシャツ)」も、もとはクールビズ用に開発されたものだった。夏を快適に、清潔感ある格好で過ごせるよう、メーカーは様々な機能を搭載した夏ワイシャツを開発している。
18年の夏ワイシャツのトレンドは何だろう。AOKI、青山、コナカ、はるやまの大手紳士服メーカー4社に聞いたところ、浮かんできたのは汗や臭い対策を施したワイシャツだった。
近年は臭いによる職場トラブル「スメルハラスメント(スメハラ)」という言葉も浸透しており、ワイシャツでも汗・臭い対策を施したものが目立つ。
「高温多湿で汗をかく季節を迎え、ベタつきや汗の臭いを気遣う男性が増えています。そのため、抗菌防臭機能のシャツを展開強化しています」(AOKI)
汗・臭い対策に注目
AOKIの展開するブランドORIHICAが発売している「スーパーノンアイロンシャツ」。18年の最新モデルでは首回り裏の襟台部分に、汗や加齢臭に効果を発揮する消臭芯を採用した。半袖タイプにはさらに抗菌防臭機能が付加し、汗の臭いだけでなく、部屋干し時の悪臭も抑制する。ORIHICAでは他にも、17年より発売している吸汗速乾・抗菌防臭機能を搭載した「SUPERCOOLシャツ」の販売も強化している。
青山商事は18年5月、「スマートビズAg+」を発売。繊維に付着させた銀イオンで、臭いのもとになる細菌の増殖を抑える。臭いだけでなく、速乾性、通常の2倍の通気性の高通気性、接触冷感、UVカットなど多数の機能を搭載した。
コナカが18年4月に発売したのが「オイルガードシャツ」。一般的なビジネスシャツは繊維内に皮脂や油汚れが残りやすいが、特殊加工を全面に施すことで一般家庭の洗濯でも落ちやすくなっている。襟や袖まわりなど、黄ばんでしまいやすい部分を清潔に保つことができるという。
はるやま商事が展開するP.S.FAが2018年4月に発売した「ASE Proof ワイシャツ」は通気性を保ちながら、汗が生地に染みこみにくい加工を施したシャツで、汗染みを予防できる。
ノーアイロンシャツなのに綿100%
個人向けに洋服選びなどのスタイリングを行うパーソナルスタイリストのみなみ佳菜さんが今夏、注目している夏シャツが「綿100パーセントなのに高機能なワイシャツ」。
綿100%のシャツは肌触りの良さと吸湿性に優れるが、縮みやすくシワになりやすい。そのためノーアイロンシャツはポリエステルなどの素材が多かったが、近年は技術の進化により、綿100パーセントでノーアイロン、さらに様々な機能を付与したアイテムも出てきている。
「綿100パーセントのワイシャツは不必要な艶や化学繊維独特のチープ感がなく、しなやかさや高級感があります。伸縮性に富み、着心地が良いのもメリット」(みなみさん)
青山商事の「NON IRON MAX純綿ニットビジネスシャツ」は、日清紡テキスタイルが開発した特殊加工を採用し、綿100パーセントにもかかわらずアイロンがけ不要のシャツを実現した。AOKIのORIHICAも、18年から「綿100% ノンアイロンシャツ」を発売している。
まだ綿100パーセントのノーアイロンシャツを着たことがないという人も多いはず。店頭で質感を確認してみてはどうだろう。
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夏用ワイシャツは機能だけでなく、デザインのトレンドも変わっている。後編では、夏の高機能シャツの着こなしのポイントをみなみさんに聞く。
(文 小沼理=かみゆ)
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