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旭山動物園、坂東元の伝える命

身近な地元の生きもの自慢、できますか

2018/7/15

開園51年目の7月1日を迎えました。強い雨が降り続いています。天気予報を見ているとめいるほど毎日傘マークが続いています。日照時間の少なさは深刻だと感じます。本州では、クマゼミなどの分布の北上が続いているようですが、いよいよ梅雨まで本格的に北上してきているのでしょうか。

6月8日エゾシカの赤ちゃんが生まれました。授乳時以外は、木や岩の陰に隠れています。(桜井省司撮影、提供:株式会社LEGION)

■自然との関わり方の変貌を気づかせてくれる存在

さて動物園と言えば、身近に見ることのできない海外の動物たちが見られる場所。旭山動物園でも北は北極のホッキョクグマから南は南極半島のジェンツーペンギン、赤道東西方向には南米のジェフロイクモザル、ボルネオ島のボルネオオランウータン、アフリカのアミメキリンやカバ…。実に身近に気軽に地球一周の旅ができてしまいます。動物園は人の好奇心が生みだした施設ですから見たことがないものを求めたのは当然かもしれません。

では身近な生きもののことは本当に見たことがあり、よく知っているのでしょうか?皆さんも毎日の出勤などの際に、毎日少なくとも数種類の鳥たちを見ているはずです。夏になると多種の虫の声を聞いたりしていると思います。そんなの種くらい分かってるよ!と言える方はどれくらいおられるでしょうか。自然を大切にと言いますが、そこにどんな種が住んでいてどのように暮らしているのかを知らずに、何を大切にすべきなのかは分からないと思います。

近年多くの人にとってみじかで深刻な問題となりつつある野生動物との様々な軋轢(あつれき)もしかりです。皆さんおなじみのニホンジカ(エゾシカはニホンジカの亜種)、動物園で来園者の会話に耳を傾けているとシカの角は伸び続けていると思っている人が意外と多いことに驚かされます。毎年生え替わるのですよ、と伝えると「こんな大きな角が毎年生え替わるの!」と驚かれます。角が生え替わることは、彼らの暮らし方や一年のサイクルを知る上で最も重要なポイントです。彼らの暮らし方を知って初めて、私たち人間が作り替えてしまった環境や生きものとの関わり方の変貌の本質に気づけるのではないでしょうか。

春に落ちた角が伸びてきました。繁殖期の秋には立派な角が完成します。(桜井省司撮影、提供:株式会社LEGION)

■身近な生き物ほど知らないことも

と言うことで旭山動物園では昔から地元の生きものたちの飼育展示に力を注いでいます。変な話ですが、もし明日キングペンギンが持ち込まれます!と聞いても慌てずに準備ができます。飼育方法など技術の蓄積があるからです。でも保護で野鳥が持ち込まれるとそうはいきません。種を調べることから始まり、何を食べているのかを調べ、強制給餌の量や回数を検討し、どうしたら与えた餌を食べるようになるかを探り…、身近な生きもののことの方が分からない知らないことが多いのです。ゾウやペンギンに比べると地味かもしれませんが知れば知るほど素晴らしい生き物たちが身近で暮らしているのです。前号で書いたシマフクロウの繁殖成功は、施設作りから始まり多様な知識経験の集積があって為し得た象徴的なできごとでした。

次ページに「シマフクロウの映像」

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