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レジが合わない バイトが「罰金」天引きされたら… 弁護士 志賀剛一

2018/7/5

写真はイメージ=PIXTA
Case:36 大学生の娘がコンビニエンスストアでアルバイトをしています。浮かない顔をしているので話を聞くと、レジの計算が合わないと店側が「罰金」「連帯責任」と称して不足額をそのシフト時に働いている全アルバイトの人数で割り、給料からその分を天引きしているのだそうです。うちの娘のミスでないとは言い切れませんが、責任がはっきりしないのに天引きするのはおかしいのではないでしょうか。

■「罰金」を給与から天引き、違法

 労働基準法は「賃金は通貨で直接労働者にその全額を支払わなければならない」と定めているので、正社員であろうがアルバイトであろうが、法律で定める税金(所得税や住民税)、社会保険料以外を給与から天引きすることは原則的にできません。

 例外として、従業員の過半数で組織する労働組合(または労働者の過半数以上の代表者)との労使協定が結ばれている場合、法律上認められているもの以外、例えば社宅の家賃なども賃金から控除することができますが、大学生のアルバイトの場合、これによって何かが控除されることはあまり考えにくいと思います。

 このため「罰金」を給与から天引きすること自体がまず違法です。

■計算が合わないのはアルバイトの責任?

 では、給与からの天引きが認められないとしても、計算が合わないレジの差額分を請求されたら店員は支払わなければならないのでしょうか?

 民法上の原則として、自分の故意または過失によって他人に損害を与えた場合、加害者は損害賠償の責任を負います。法律的には労働契約上の債務不履行または不法行為による損害賠償責任になるでしょう。仮に店員が故意に売上金をレジから盗んだ場合、その店員は盗んだ売上金全額を店に賠償する責任を負います。あまりにも当然のことです。

 しかし、人は必ずミス(過失)を犯します。あってはならないことですが、客から受け取る金銭が少なかった、釣り銭を多く返しすぎたりするミスは、どうしても起こりえます(従前はレジの入力ミスが多かったようですが、最近のコンビニはバーコード入力なので少なくなったそうです)。

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