日本は島国。大きい島を除いても、実に6800以上の島々があり、魅力や個性もさまざまです。
6月30日、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」のユネスコ世界遺産への登録が決定しました。昨年は福岡県の「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」が登録されています。2年続けて決まった世界遺産の構成資産の中心となるのが「島」です。世界遺産の日本の島に注目してみました。
外国人にも魅力の日本の島旅
近年、夏の旅といえば「島旅」が人気になっています。それは外国人観光客も同じ。おなじみの瀬戸内海の直島、太鼓芸能集団「鼓童」の拠点となる佐渡島、厳島神社がある宮島、長崎の軍艦島、そして沖縄などビーチがある島々は外国人に人気が高く、ジャパンガイドでもさまざまな日本の島を取材してサイトで紹介しています。
夫のシャウエッカーは「日本の島はとても魅力があり、島旅は本当に面白い!」と言います。「日本の島にはいろいろなタイプがあり、魅力もそれぞれ違いますが、共通していることは『行きづらさ』ではないでしょうか。行きづらいからこそ、いつもとは違う世界、見たこともない風景に触れ、新しい体験ができます」
2017年、福岡県の「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」が世界遺産に登録されました。続いて今年、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の登録が決まりました。その構成資産には、五島列島にある4島の集落が含まれています。
世界遺産となっている日本の島は他にもあります。ただ、われわれも勘違いしがちで気を付けなければいけないのは、世界遺産は観光のために選ばれるのではないということです。
本来、世界遺産とは人類共通のかけがえのない遺産で未来に伝えていくべきもの。しかし、もともと観光地であったところが登録されると、一躍有名になり、観光客の増加につながるなどの効果が生まれます。その一方で、懸念されることもあります。「人類共通の遺産を守るための世界遺産制度なのに、有名になって、観光客が増えることで貴重な環境や生態系が荒れてしまう可能性もある。バランスが大事ですね」(シャウエッカー)
最も新しい世界遺産の島…五島列島(長崎県)

日本で22件目の登録となった「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連資産」。その構成資産である五島列島は、九州の最西端に位置し、大小140の島々が連なる地域です。
長崎でキリスト教(カトリック)の布教が始まったのは16世紀のこと。信者は増えましたが、その後の禁教令によって一時衰退しました。1797年、大村藩から移住した農民のほとんどが潜伏キリシタンであったため、五島藩にもキリシタンの集落ができました。しかしその後は厳しい弾圧や迫害を受ける悲惨な歴史があり、潜伏していた時代は200年以上にも及びました。