民泊営むと課税4倍も 固定資産税の特例外れる可能性

写真はイメージ=PIXTA
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住宅宿泊事業法(民泊新法)が6月15日に施行され、民泊が本格的に解禁されました。自宅の空き部屋などを活用して副収入を得ようと考える人もいますが、注意点も多いようです。その一つが税金です。民泊に関する課税の仕組みを見ていきます。

はじめに所得税についてです。国税庁は13日、宿泊客から受け取った料金を確定申告する際の注意点を公表しました。注目したいのは所得区分です。民泊によって得た利益は原則として「雑所得」として扱うとされています。

民泊運営では部屋を貸して使用料を得るため、利益を不動産所得と思いがちです。しかし民泊の収入には他に寝具や電気・水道の提供、部屋の清掃などさまざまなサービスの対価が含まれ、不動産所得には該当しないとされます。

税率は所得水準に応じて15~55%(住民税10%含む)です。雑所得は一般の会社員の場合、20万円以下なら申告する必要はありませんが、他の所得区分と損益通算ができないことに留意が必要です。

仮に民泊運営で赤字になっても、給与など他の所得と相殺できず、課税所得を減らせないからです。税理士の内藤克さんは「通算できる対象は、雑所得扱いの年金収入や為替差損益など一部に限られる」といいます。

民泊運営に関連してもう一つ重要な税金が、固定資産税(地方税)です。現行、居住用の家屋の敷地については特例措置(住宅用地の特例)があり、税金が軽減されています。200平方メートルまでなら評価額が6分の1、200平方メートル超は3分の1となります。

ところが民泊を営むと、その規模によっては居住用と認められず、軽減措置が外れる可能性があります。一般的な戸建ての場合、本人が居住する面積が半分以上あればそのまま特例対象ですが、半分未満になると、部分的か全面的に特例の対象外となる規則になっています。

自宅で限られた規模で民泊を営むならよいのですが、大部分で営む場合は要注意です。税理士の角田壮平さんは「ケースによって納付税額が4倍強になることもある」と話します。

将来の相続税にも注意

見落としがちなのが相続税の扱いです。税制では居住用の宅地を、同居していた子どもらが相続した場合、評価額を8割も減らせる特例(小規模宅地等の特例、330平方メートルまで)があります。しかし、「民泊を営んでいた場合は居住用とみなされず、適用対象外となる可能性がある」と角田さんは言います。

賃貸事業などをしていた場合には50%の評価減が認められますが、「民泊は営業日数に上限(年180日)があることなどから事業と言いづらく、特例が適用されない可能性がある」と内藤さんは指摘します。将来かかる相続税の負担が増えかねないことに留意が必要です。

税理士の間では「民泊運営にかかわる税制は、総じてうまみが少ない」との声が一般的です。民泊新法の要件を満たさずに違法に営業する例もありますが、「所得が発生すれば納税は義務」というのが税務当局の考え方です。課税の仕組みをよく理解しておく必要があります。

[日本経済新聞朝刊2018年6月30日付]

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