冨山 もちろん大変です。技術単体はできていますが、やはり車種ごとのチューニングはしなければならないので大変ではあります。開発部門以上に工場での生産準備や部品変更が入るので試作部門にしろもうパンパンです。「もうちょっとここの間隔を開けてくれないとトライアルができない」とか。
小沢 やはり。それにしてもCX-3に関しては他より改良回数が多いと思うんです。それは単純にCX-3がはやりのコンパクトSUVで競争が激しいからですかね?
冨山 それもあります。成長している分野なので、より商品力を高めたい。それからこれは私個人の取り組みですが、初期のCX-3オーナーからの要望を全部リストにして、いつ入れられるか計画を立てていたんです。例えば本革内装にしろ最初は白革しか入れられませんでしたが、黒革のご要望も多かったので早く入れたかった。だから、2015年2月に出した10カ月後の12月にそれを入れたんです。
小沢 もしやお客の要望には全部応えようというつもりなんですか?
冨山 そうです。センターコンソールのアームレストにしろ、それ自体を作るのにはたいして時間はかかりませんが、そのために必要となる電子パーキングブレーキの開発に時間がかかった。よってこのタイミングとなり、今回でお客様からいただいたリクエストに対してはすべてやりきったと思ってます。
小沢 スゴいですね。普通マツダのエンジニアってこれほどまでに新車担当者が後々までアフターケアするもんなんですか。
冨山 いや、私は特別です(笑)。ただ今回の静粛性改善にしろ、私がやろうと言ったのではなく、エンジニアリングのほうから「やらせてくれ」という提案がありました。

マツダの値引きなし戦略の追い風
小沢 さすがは「広島理想主義」を追い続けるマツダですね。みんなクソ真面目(笑)。ところでもう一つの現場、販売とかは大変じゃないんですか。カタログとかどんどん新しくリニューアルされちゃうわけだし。
冨山 新車は大丈夫です。しっかりセールス教育をやりますので。担当者も話の材料が増えますし。それより問題は中古車になったときです。