低糖質炊飯器・半分冷凍室の冷蔵庫…上期ヒット家電
2018年上半期は、大手家電メーカーではない、伏兵メーカーの既成概念を覆した新型家電が旋風を巻き起こした。今後のブレイク候補とともに紹介しよう。
「炊くだけ」で健康食に
伏兵ヒットの筆頭が、サンコーの「糖質カット炊飯器」。大手が「おいしさの追求」で競うなか、いつもの米をそのまま炊くだけで糖質を3割以上カットできる驚きの機能をうたい、SNSなどで話題が沸騰した。17年12月に先行予約が始まると注文が殺到。その後も1カ月半から2カ月待ちになるほどの人気ぶりで、受注台数は1万台を超えた。
冷凍食品人気を受けて大化け!
冷蔵庫にも「非大手メーカー」の驚きのヒットがある。ツインバード工業が17年10月に発売した「2ドア冷凍冷蔵庫 ハーフ&ハーフ」は、冷凍室の容量が冷蔵室と同じ常識外の設計。冷凍室は、200L以下クラスの小型冷蔵庫としては最大級となる73Lの容量を備える。「ファミリーだけでなく、単身世帯や2人世帯でも冷凍食品のニーズが高まっている」(ツインバード工業)ことから、200L以下の小型冷蔵庫に、大型冷蔵庫並みの冷凍室を備えた。狙いは見事に当たり、当初計画の1.5倍を受注している。
「超自動化」で高額でも急伸
一方、1分でも時短したい共働き家庭には、高くても最新機能が売れる。その象徴が、パナソニックの「ななめドラム洗濯乾燥機 NA─VX9800」。あらかじめ洗剤を入れておくだけで、後は衣類の量に合わせて自動で投入される。最上位モデルながら売り上げは前年下期比で1.7倍に達した。スマホアプリを使って外出先から運転予約などができるIoT機能も、実用度が高い。
新たな調理法が一躍トレンドに
低温で湯せんして加熱する「低温調理法」に対応した家電が続々と発売。17年11月に本格販売が始まった「BONIQ」(葉山社中、実勢価格、税込み2万1380円)は、受注が想定を大幅に上回る1万台を突破した。さらに、18年3月には大手の貝印も参入し、年間販売予定分をすでに受注するほどの人気ぶりで市場が急拡大している。プロの調理法が手軽にできる他、安い肉でも本格的に仕上がるという経済性も女性の心を捉えた。
超小型の「暖炉」が都市部でヒット
LEDの光が揺らぎ、暖炉の炎をリアルに再現するDimplexの電気暖炉。17年10月に最小モデルが発売されて注文が殺到し、昨冬全体の予定台数が僅か2カ月で「蒸発」した。都心の集合住宅や1ルームにも置きやすく、広がった。
ブレイク候補:男性用美容家電がメジャーに
17年春に発売されたパナソニックの男性向けムダ毛処理器「ボディトリマー」(実勢価格、税込み6080円)は、一時品薄になるなどの人気に。18年5月には新アタッチメントを備えたモデル(実勢価格、税込み8570円)が追加されたうえ、濃密な泡を立てられる電動洗顔ブラシなども登場。男性用美容家電はラインアップが大幅に拡充され、裾野が広がりそうだ。
ブレイク候補: 睡眠機器市場の新たなトレンドに
レイコップが2月に発売した、新機軸の睡眠サポート家電。寝床内の温度を調節することで心地よい就寝と目覚めを誘うとうたう。価格は14万円近くと高いものの、初動は好調。今後、百貨店やテレビ通販でも積極展開する予定という。「睡眠関連のIoT機器が続々と登場している」(二子玉川 蔦屋家電)ことから、「睡眠テック」にも注目だ。
ブレイク候補:インスタで注目度アップ
ドウシシャが4月に発売した「3Wayハンディファン」(実勢価格、税込み2350円)は、手持ちの他に首掛けなどもできる機能性や、シンプルなデザインが受けて品薄になる好評ぶり。韓国では、多種多様なデザインで街で持ち歩く人も多く、俳優などがインスタに投稿して火が付いた。「今夏にはバリエーションが一気に広がる」(ドン・キホーテ)と見られ、日本でも若者を中心に定番化しそうだ。
[日経トレンディ 2018年7月号の記事を再構成]
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