半導体株にトランプ不況の影 供給過剰も(窪田真之)楽天証券経済研究所所長兼チーフ・ストラテジスト

「株式市場では、トランプ米大統領の過激な政策が景気に悪影響を及ぼすとの懸念が出ている」

世界の株式市場に暗雲が漂い始めました。これまでは「世界まるごと好景気」といっていいくらいの好景気が続き、相場も上昇基調を維持してきましたが、最近は下げが目立つようになりました。トランプ米大統領が掲げる過激な通商・外交政策が景気に悪影響を及ぼすとの懸念が出ているからです。

トランプ氏はイラン核合意から離脱し、同国への経済制裁を復活すると宣言しました。その一環で、イランからの原油輸入を11月4日までにゼロにしろと、日本を含む関係各国に圧力をかけています。制裁に従わない企業に重い制裁を科す可能性も示唆しており、イランでビジネスを行う企業は戦々恐々としています。

トランプ氏の強硬策続き、楽観論後退

これまではトランプ氏が過激な政策を打ち出しても「極端なことをいうのは交渉のテクニックで、最後は現実的な落としどころを見つけて事態を収束させるだろう」との読みが主流でした。ところが、近ごろはそうした楽観論が吹き飛ぶような強硬策を立て続けに繰り出しています。例えば、外国との交易で米国が受け入れを制限する分野として鉄鋼・アルミニウム、自動車、さらには投資へと次々とエスカレートさせています。

しかも、当初は中国に集中していた貿易摩擦がいつの間にかEU(欧州連合)、カナダ、日本など親密国にも広がってきました。すでにEUやカナダが対抗措置として報復関税を発動しました。中国も報復関税を7月6日に発動する予定です。ロシアなども報復関税を表明しています。摩擦が世界規模で拡大し始めたことを受け、市場では「トランプ・リセッション(トランプ不況)」が起きる、との不安が出ています。

株式市場は今年に入ってから、こうした状況を織り込み始めています。日経平均株価は比較的底堅く推移していますが、物色動向を見ると、はっきりとした二極化の傾向が確認できます。それは景気敏感株(自動車、中国、半導体関連など)が売られ、景気に左右されにくいディフェンシブ株(食品、医薬品、電鉄など)が買われるという現象です。

半導体関連など景気敏感株が下げる

実際、景気敏感株は足元の業績が好調でも下げがきつくなっています。例えば、産業用ロボットや建設機械株(ファナック、安川電機、コマツなど)がそうです。同じように業績は絶好調にもかかわらず、半導体関連株(東京エレクトロン、アドバンテスト、信越化学など)も下げ始めています。

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